『みらい』のブログBLOG

ドローンお役立ち情報Vol28『操縦ライセンスを取得しても許可承認は必要です!』・・・ほか

ドローン関連
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①操縦ライセンスを取得しても許可承認は必要です!

〇操縦ライセンス(操縦技能証明)と許可承認の関係

この前、ドローンスクールで二等操縦技能証明(以下、操縦ライセンス)を取得したんだけど、これで毎年更新していた包括の許可承認はいらなくなるの?

こちらについては、以前(昨年10月号)にも記事にしておりますが、今でも非常に多くの方から同様のご質問を頂きますので、あらためて詳しく解説したいと思います。
結論から言いますと、現時点(2023年9月15日)では、包括飛行許可承認の申請は必要です。

<国土交通省HPより引用>
ちなみにドローンの飛行形態は、リスクに応じて3つのカテゴリーに分かれており、
このうちカテゴリーⅡ以上が「許可承認」を必要とする飛行形態です。
カテゴリーⅢは
一番リスクが高い飛行形態ですが、このカテゴリーの飛行は、2023年3月に日本郵政の実証実験が1度行われただけですので、今回は『カテゴリーⅡ』の飛行に絞ってご説明します。

カテゴリーⅡの飛行は、2015年にドローンの飛行が許可承認制になって以降、私たちが申請してきた飛行形態です。これらの飛行形態の総称を「特定飛行」と呼びます。まずはこの「特定飛行」を以下の二つに分類します。

①:空港周辺の空域、150m以上の空域、催し場所の上空、危険物の輸送、物件投下、総重量25kg以上
②:人口集中地区、夜間飛行、目視外飛行、人又は物件との距離30m未満の飛行

①の特定飛行を行うには、操縦ライセンスを取得していたとしても、必ず国土交通大臣の飛行許可又は承認を取得しなければなりません。 それでは②の特定飛行はどうでしょうか?

カテゴリーⅡ(飛行許可・承認が必要な飛行)

②の特定飛行(人口集中地区、夜間飛行、目視外飛行、人又は物件との距離30m未満の飛行)については、飛行できるパターンが二つあります。
一つ目は、皆様が毎年更新されている、「包括」許可承認を取得するパターンです。
ちなみに、この「包括」とは、日本全国(場所を特定せず)、最長1年間(期間を限定せず)で許可承認を取得できるものを指します。
ちなみに①の特定飛行は、場所と期間の両方、又はどちらかが指定されるため、「包括」で許可承認を取得することができません。

<許可承認を取得してカテゴリーⅡの飛行を行う場合の手続き>

<国土交通省HPより引用>

【機体購入から飛行までの手順】
①機体購入
②機体登録(登録記号取得)
③リモートIDへの登録記号の書込みと機体への貼付け
④飛行許可承認の取得(特定飛行②の場合は包括で取得可能)
⑤飛行計画の通報と事前点検の実施
⑥ドローンの飛行実施
⑦飛行日誌の記載

以上です。尚、飛行許可承認の有効期限は最長1年です。

カテゴリーⅡ(飛行許可・承認が不要な飛行)

 

②の特定飛行を飛行出来る、二つ目のパターンは、操縦ライセンスを取得するパターンです。詳しくは以下の図のような要件と手続きが必要です。

<許可承認を取得せずにカテゴリーⅡの飛行を行う場合の手続き>

【機体購入から飛行までの手順】
①機体購入
②機体登録(登録記号取得)
③リモートIDへの登録記号の書込みと機体への貼付け
④二等操縦ライセンス以上の取得
⑤第二種機体認証以上の取得
⑥ドローンの飛行実施
⑦飛行日誌の記載

以上です。操縦ライセンスの有効期限は最長3年です。

以上の通り、「操縦ライセンスを取得すれば許可承認は不要」というのが、このパターンですが、こちらは、あくまで法令上可能であって、「現時点」では不可能です。その理由は、もう一つの「不要要件」である「第二種機体認証以上の取得」が必要だからです。つまり、許可承認が不要となる要件は、以下の様になります。

二等操縦ライセンス以上+第二種機体認証=許可承認不要で②の特定飛行が可能

〇機体(型式)認証制度とは?

ライセンス制度と同時に始まったのがこの「機体認証制度」です。
こちらは「特定飛行」を行うことを目的とする無人航空機の強度、構造及び性能について検査を行い、機体の安全性を確保する認証制度です。
こちらの制度もライセンス制度のように二つに分かれており、「第一種」と「第二種」があります。

 

 

機体認証の区分
この制度には、型式認証機体認証があります。まずは簡単にこれを説明します。

型式認証・・・こちらは「量産型のドローン」向けの制度です。検査機関(第一種は国、二種は登録検査機関)が、モデルごとに設計、製造過程を検査しますので、製造メーカーが対象となります。

機体認証・・・こちらは、メーカーが型式認証を受けている場合の機体や、自作の機体が対象となりますので、主な申請者は使用者となります。自作機以外の機体については、主にメーカーが型式認証を行っている機体が対象ですので、設計や製造過程での検査が省略され、現状の検査のみとなります。

機体区分 使用状況 書類検査 実地検査
第一種機体認証 未使用品 省略 必要
使用品 必要 必要
第二種機体認証 未使用品 省略 省略
使用品 必要 メーカーの定期点検等を受けている場合は省略
自作機 設計、製造過程、現状全てにおいて検査が必要
第一種と二種の区分の違い

それでは第一種と二種の機体(型式)認証の違いは、操縦ライセンスと同様にリスクレベルです。第一種機体(型式)認証を受ける機体は、カテゴリーⅢの飛行形態を行う場合に必ず必要な認証となります。ただし、カテゴリーⅡ以下の飛行形態に関しては、認証が無い場合でも飛行は可能です。

 
機体区分 飛行形態 検査機関 有効期間
第一種機体認証 ・第三者上空
・補助者無し
・目視外
1年間
第二種機体認証

・空港周辺
・DID地区
・150m以上の上空
・夜間飛行
・目視外飛行
・第三者(物)から30m以内
※すべて補助者あり

登録検査機関(民間) 3年間

〇機体認証を取得すればいいの?

なるほど!ということは、製造者(メーカー)が、私の持っているドローンの型式認証を取得していれば良いということね!それでどのドローンが型式認証を取得しているの?

確かに制度上はそうなのですが、現時点で世の中に出回っている一般的な機体(汎用機)で二等以上の機体認証を取得している事例はありません。6月にSONYが、Airpeak S1の第二種型式認証を申請したとのことですが、国内で使用されている汎用機の8割以上を占めると言われる「DJI製」のドローンにつきましては、今のところそのような情報はありません。

<参考資料:第二種機体認証の新規申請手数料額>
 
<国土交通省資料>
上の表は、機体認証を行う際に支払う手数料ですが、新規で申請した場合は、非常に高額になるのが分かりますね。

操縦ライセンスは役にたたない?

それでは、折角取得した操縦ライセンスは役にたたないの?

あくまで現状では、「操縦ライセンスを取得しても許可承認は必要」ですが、近い将来、第二種型式認証を取得する機体が出てくると思われます。また、操縦ライセンスは、スキルを証明する一つの目安になりますので取得しておいても無駄にはならないはずです。
現に、公的機関の入札の参加要件に「二等以上の操縦技能証明を取得していること」等と記載されているケースも出てきております。また、操縦ライセンスを提示することが飛行出来る条件とされる公的エリアもあるようです。この後、こういった事例はどんどん増えていくかもしれませんね。


<例>
令和5年度 千葉市ドローン活用推進事業
東北森林管理局 遺産地域内での無人航空機の取扱い

 

②国道上で違法にドローン撮影(令和5年9月13日記事 香川県)


<Yahooニュース(RSK山陽放送)2023年9月13記事より>

<以下、記事を抜粋>
三豊市豊中町の国道上でドローンを違法に飛ばしたとして、高松市の建設コンサルタント会社とその社員の男性2人が書類送検されました。 警察によりますと、2人は今年4月、香川河川国道事務所からの依頼をうけ、国道11号の4車線通行が始まった区間で撮影のためドローンを飛ばしました。しかし、航空法に定められた要件を満たさず、かつ国土交通大臣の承認を得ていない状態だった疑いが持たれています・・・
記事の続きは、配信元の記事をご確認ください。

記事はこちら⇒「認識不足だった」三豊市の国道上で違法にドローン撮影 建設コンサルタント会社と社員2人を書類送検【香川】(RSK山陽放送) – Yahoo!ニュース

こちらは、国土交通省香川河川国道事務所からの依頼による飛行ということで注目されておりますが、そもそもこういった業務を発注する場合、河川国道事務所の契約担当者が、有効な許可承認書を所持しているかどうかを、確認するのが一般的だと思いますので、その辺がどうなっていたのか気になりますね。

今回の事件に関係する法令は以下の通りです。

「航空法」

(飛行の方法)
第百三十二条の八十六 無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。

2 無人航空機を飛行させる者は、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合(立入管理措置を講ずることなく無人航空機を飛行させるときは、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合に限る。)を除き、次に掲げる方法により、これを飛行させなければならない。

三 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行さ


「航空法施行規則」

(飛行の方法)
第二百三十六条の七十九 法第百三十二条の八十六第二項第三号の国土交通省令で定める距離は、三十メートルとする。

③飛行計画を出さずに花火大会を撮影(令和5年8月25日記事 静岡県)

 
8/25(金)21:25Yahooニュース(静岡朝日テレビ)配信記事より

<以下、記事を抜粋>
静岡県沼津市は7月に開かれた狩野川花火大会で撮影したドローンの映像について、手続きに不備があったと発表しました。また、これまでに18件の不備が確認されたということです。 手続きの不備が確認されたのは、ドローンを飛ばす日時や場所、高さなどを届け出る飛行計画です。沼津市によりますと7月、市がドローンで撮影した狩野川花火大会の映像について、市民から手続きへの指摘があり、調べたところ飛行計画を事前に届け出ていなかったということです・・・

記事の続きは、配信元の記事をご確認ください。

記事はこちら⇒事前に飛行計画届け出ず…静岡・沼津市のドローン撮影で18件の不備 映像を削除(静岡朝日テレビ) – Yahoo!ニュース

こちらは、「飛行計画の通報」違反の記事のようですが、検挙や書類送検当の文字は見当たらないようですね。いずれにしても、特定飛行を行う際に、飛行計画の通報は義務ですので、必ず行うようにしてください。

飛行計画の入力方法はこちら

 

今回の違反に関係する法令は以下の通りです。

<飛行計画の通報に関する航空法の条文>
(飛行計画)
第百三十二条の八十八 
無人航空機を飛行させる者は、特定飛行を行う場合には、あらかじめ、当該特定飛行の日時、経路その他国土交通省令で定める事項を記載した飛行計画を国土交通大臣に通報しなければならない。ただし、あらかじめ飛行計画を通報することが困難な場合として国土交通省令で定める場合には、特定飛行を開始した後でも、国土交通大臣に飛行計画を通報することができる。

2 国土交通大臣は、前項の規定により通報された飛行計画に従い無人航空機を飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがあると認める場合には、無人航空機を飛行させる者に対して、特定飛行の日時又は経路の変更その他の必要な措置を講ずべきことを指示することができる。
3 第一項の規定により飛行計画を通報した無人航空機を飛行させる者は、前項に規定する国土交通大臣の指示に従うほか、飛行計画に従つて特定飛行を行わなければならない。ただし、航空機の航行の安全又は地上若しくは水上の人若しくは物件の安全を確保するためにやむを得ない場合は、この限りでない。

 

第百五十七条の十 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
十 第百三十二条の八十八第一項の規定に違反して、通報をしないで、特定飛行を行つたとき。

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