『みらい』のブログBLOG

ドローンお役立ち情報Vol30『レベル3.5で何が変わるの?』・・・ほか

ドローン関連
日頃のドローンの運用にお役立てください!

①国土交通省が示した『レベル3.5』の飛行について

〇「無人航空機に係る取組の方向性について」の資料公開

国土交通省は、令和5年11月17日に「無人航空機に係る取組の方向性について」というタイトルの資料を公開しました。これは、10月11日に開催された「第1回デジタル行財政改革会議」での岸田総理大臣の指示を受け、第2回の同会議開催に先立って示されたものです。この資料によると、「事業者の要望を受ける形で、立入管理措置の撤廃道路や鉄道等の横断の容易化」という文言が記載されております。

規制改革推進会議 第1回 スタートアップ・投資ワーキング・グループ 議事次第
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_02startup/231117/startup01_agenda.html
レベル3飛行のおさらい

<国土交通省資料「無人航空機に係る取組の方向性について」より>

【レベル3の飛行】
・無人地帯での補助者無し・目視外飛行
<全体要件>
①第三者※1の立入管理(第三者上空を飛行させない)
②有人機等の監視
③時期の監視
④時期周辺の気象状況の監視
この飛行許可承認は、主に山間部や離島でのドローン配送の実証実験などで必要になります。

※1第三者とは、無人航空機の飛行に直接又は間接的に関与していない者であり、操縦者と共通の飛行目的を持っている者です。ただし、以下の条件を満たしている必要があります。
①飛行の安全上の従うべき明確な指示及び注意を受けていること
②①を適切に理解(確認)していること(言っただけではNG)
③飛行の全部又は一部に関与するかどうかを自ら決定することができること

レベル3飛行の課題


<国土交通省資料「無人航空機に係る取組の方向性について」より>

「立入管理措置」の撤廃、「道路や鉄道等の横断を容易化」って書いてあるわね!
ということは、立入管理措置をとらなくても、誰でも自由に道路や線路の上空を飛ばして空撮ができるようになるの?

最近、この資料についての質問が非常に多いので詳しく説明しますね。


まず、「誰でも自由に・・・?」という質問の答えは、「そうではない」とだけお答えしておきます。ここでポイントとなるのは、この案の発端となった10月11日の岸田総理の指示内容です。

第1回デジタル行財政改革会議(10月11日) 岸田総理指示の内容(抜粋)

斉藤大臣においては、地域交通の担い手不足や、移動の足の不足といった、深刻な社会問題に対応するため、タクシー・バス等のドライバーの確保や、不便の解消に向けた地域の自家用車・ドライバーの活用などの検討を進めるとともに、西村大臣と協力して、自動運転やドローンの事業化を加速してください

このような指示の背景には、操縦技能証明や機体認証の制度創設により、加速すると思われていたドローンの産業利用(特に配送分野)が、思ったように進んでいないという現状あります。
確かに制度は整備されましたが、実際には、第一種機体認証+一等操縦技能証明が必要なレベル4(有人地帯での補助者を有しない目視外飛行)はおろか、許可承認申請でも飛行可能であるレベル3の飛行においても、中々実用化は進んでおりません。その大きな要因が、機体認証の遅れであることに異論はないと思いますが、仮に機体認証の機体と操縦技能証明が揃ったとしても、一気にレベル3のドローン配送が進むかと言われれば、「?」と言わざるを得ません。その理由の一つが「立入管理措置」です。

 

〇レベル3飛行申請時の注意点(カテⅡ審査要領5-4(3)c)オ)、カ))
・落下リスクを踏まえた立入管理区画の設定が必要
・飛行中に設定した立入管理区画に、移動車両を含む第三者が立ち入らないための対策が必要
・設定した立入管理区画には、立看板やポスターなどの周知が必要(区画内の第三者立入りを排除する対策として)
・そのうち、第三者が区画に立ち入る可能性が排除できない場所※1については、追加の立入管理方法※2が必要
※1 道路、鉄道、家屋、航路、漁船などが航行する海域など
※2 補助者の配置により第三者の立ち入りがないタイミングを操縦士へ連絡する、一時的に道路の交通を制限する
(通行止め等)など
なお、追加の立入管理方法については、法第132条の87(第三者が立ち入った場合の措置)が新たに規定されたことにより、機体に設置されたカメラにより「移動車両を含む第三者の立入りを監視」することだけでは認められず、機上又は地上において、DAAシステム、画像認識(人認識)カメラ、地上の検知装置(防犯カメラ等)などのように「移動車両を含む第三者の立入りを検知」することで、立入管理区画内への立入りを制限することが要件となっていることに注意が必要です。

確かに、ほとんど人がいない地域であっても、これだけ要件が厳しいのならなかなか進まないのも仕方ないわね…

まさにその通りです!
この要件であれば、実証実験ならばなんとかできなくはないにしても、「定期の運送便を自動運行で飛行させる」のは不可能と言っていいでしょうね。
そこで、この厳しい要件を簡易化し、ドローン配送を事業化させてい目的で新設されるのが今回の「レベル3.5」というわけです。

 

レベル3の緩和と要件

以上の様に、一定の条件をクリアすれば、レベル3の立入管理措置を撤廃し、道路や鉄道の横断を容易化することにより無人地帯での実用化を促そうという趣旨のものです。

それでは空撮事業者については、レベル3.5の簡易化で恩恵は有るの?

もちろん要件を満たしていれば、ドローン配送に限らず、空撮でもレベル3.5の申請は可能になりますが、全国包括ではなく飛行エリア指定の許可・承認となるので、空撮用途では、運用上なかなか難しいかもしれませんね。ただ、来月以降レべル3.5の飛行は増えていくと思われますので、以後、注視していく必要がありそうです。

②土浦花火大会で無許可ドローン確認 茨城県(11月6日)

<Yahooニュース(茨城新聞社)2023/11/6月記事より>

<以下、記事を一部抜粋>
茨城県土浦市の桜川畔で4日開かれた土浦全国花火競技大会で、無許可のドローンが少なくとも2機、会場周辺を飛行していたことが6日、分かった。大会実行委員会事務局の市が6日の定例会見で明らかにした。落下の危険性があることから、実行委はドローンの飛行禁止を案内していた。 市によると、ドローンは4日午後5時半の大会開始後、会場周辺の上空を飛行。会場は60万人(主催者発表)が詰めかけており、来場者の頭上などに落下するとけがや事故が懸念されるとして、実行委はパンフレットなどでドローン飛行の禁止を周知していた・・・以下、記事をご参照ください↓
無許可ドローン今年も 茨城・土浦花火大会 実行委、2機確認(茨城新聞クロスアイ) – Yahoo!ニュース

花火大会での違反飛行は、これまでも何度取り扱ってきましたが、あらためて今回の飛行の何が問題なのかを解説致します。


まず、この記事と周辺地図から分かる、花火大会当日の条件は以下の通りです。
・花火大会の場所は、茨城県土浦市の桜川畔
・11月4日、栃木県内で17時半以降の飛行
・実行委員はドローンの飛行を禁止していた
・60万人の観客がいた会場周辺で飛行していた
・打上げ場所は人口集中地区に隣接している

これらの条件から、今回の飛行を行うには以下の許可承認を個別で取得する必要があります。
①人口集中地区の飛行許可(航空法 第132条の85第1項2号)
②夜間飛行の承認(航空法 第132条の86第2項1号)
③目視外飛行の承認(航空法 第132条の86第2項2号)
④催し場所上空の飛行承認(航空法 第132条の86第2項4号)

ここで注意しなければならないのが、「人口集中地区での夜間飛行」「夜間の目視外飛行」については、包括の際に添付している「航空局標準マニュアル②」は使用できませんので、個別マニュアルの作成が必要になります。

そもそも催し場所上空飛行を行う場合は、主催者との事前調整の結果を承認申請書に記載しなければならないのですが、今回の場合は、大会実行委員会がドローンの飛行を禁止しておりますので、初めから会場周辺での飛行は出来なかったということです。

③川北市「北國大花火川北大会」航空法違反で摘発(11月13日)


<Yahooニュース(北國新聞)2023/11/13月記事より>

<以下、記事を抜粋>

8月に川北町で開かれた北國新聞創刊130年記念北國大花火川北大会(北國新聞社主催)を撮影するため、国の承認を得ずにドローンを夜間飛行させたとして、石川県警は13日、航空法違反の疑いで、能美市の50代男性と小松市の30代男性を金沢地検に書類送致する方針を固めた。ドローンの夜間飛行での摘発は県内で初めて。2人は「趣味で花火の映像を鑑賞するため撮影した」などと容疑を認めている・・・・・・以下、記事をご参照ください↓

ドローン無承認飛行疑い 「川北花火撮影」能美、小松の男性 県内、夜間で初摘発(北國新聞社) – Yahoo!ニュース


こちらも
花火大会で起きた事件ですが、花火大会当日の8月5日当日に任意同行という形で事情を確認され、11月13日に書類送検されたようです。前出の土浦市の花火大会同様、こちらも「夜間飛行、催し場所上空飛行の承認」などは取得していなかったようです。

いずれにしても、イベント主催者の同意が取れない飛行はできませんので、どうしても撮影したいという場合は、イベントエリアから遠く離れた場所で、人口集中地区の外で撮影をしてください。その場合でももちろん包括の夜間飛行の承認は必要です。

 

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