『みらい』のブログBLOG

ドローンお役立ち情報Vol27『制限表面(空港周辺)における飛行制限高度の確認方法』・・・ほか

ドローン関連
日頃のドローン運用にお役立てください!

①制限表面(空港周辺)における飛行制限高度の確認方法

〇空港の制限表面とは?


<図1:大阪航空局資料より引用>

制限表面とは、航空機の安全な航行を目的として、空港周辺の一定の空間に設定されます。この空間には、建物などの障害物が無い状態にしておく必要があるため、ドローンの飛行も禁止されております。

制限表面の種類は以下のようなものがあります(図1参照)。
・進入表面
・水平表面
・転移表面
・延長進入表面※1
・円錐表面※1
・外側水平表面※1
※1については、航空法第56条にて、「政令で定める空港について国土交通大臣が指定することができる」とされております。政令で指定されている空港は以下の16の空港です。
(釧路、函館、仙台、成田国際、東京国際、中部国際、大阪国際、関西国際、松山、福岡、大分、長崎、熊本、鹿児島、宮崎、那覇空港)

〇制限表面内ではドローンを飛ばせないの?

空港周辺ではドローンを飛ばせないって聞いたんだけど、制限表面の中では飛ばせないってことなの?政令指定の空港の制限表面はずいぶん広いようだけど・・・

空港周辺=制限表面と思って頂いて結構ですが、「このエリアでは全く飛ばせない」という意味ではありません。こちらは高さ制限です。そこで、制限表面内でドローンを飛行させるには、それぞれの場所で飛行可能な高度を確認する必要があります。

〇空港の制限高度の確認方法

制限表面内で正確な飛行制限高度を確認するには、その空港を管轄する空港事務所の航空管制官に確認する必要がありますが、ここではおおよその高さを確認する方法をご紹介いたします。ただし、飛行高度が制限ギリギリになりそうな場合は、必ず正確な高度を航空管制官に確認しましょう!

<飛行制限高度の手順>
おおよその飛行制限高度を確認するには、以下の手順で行います。

1.地理院地図にて飛行位置の所在、座標、飛行位置の標高を確認する(図2)
2.各空港の「高さ制限回答システム」で、飛行位置の飛行制限高度を確認する(図3)
3.(飛行位置の標高+地表からの飛行高度)と飛行制限高度を比較する
以上で、地表から飛行可能な高度が確認できます。

この場合、(飛行位置の標高+地表からの飛行高度)の高度が飛行制限高度より高くなった場合は、1mも飛行できないということになります。

それでは、今回は福岡空港に程近い『東平尾公園博多の森陸上競技場』を例に、飛行可能高度を実際に調べてみましょう。

STEP1:飛行場所を検索する

地理院地図を開き、検索バーに飛行場所の住所か座標を入力して検索します。今回は、飛行地点の『東平尾公園博多の森陸上競技場』の住所である「福岡県福岡市博多区東平尾公園2丁目1−2」を入力して検索します


<図2:地理院地図>

STEP2:飛行位置の情報を確認する

『東平尾公園博多の森陸上競技場』の周辺が表示されたら、「+」のカーソルを飛行位置に合わせると、左下に「所在地、座標、標高」が表示されますので、それらの情報をコピーして保存しておいてください。

『東平尾公園博多の森陸上競技場』の情報は以下の通り。
所在地:福岡県福岡市博多区東平尾公園二丁目(番地は表示されません)
座標:
33度35分3.03秒 130度27分55.75秒 33.584176,130.465487
標高:55.9m

STEP3:「高さ制限回答システム」で飛行位置を検索する

飛行地の情報を取得したら、次は飛行制限高度を確認します。
飛行制限高度につきましては、各空港の「高さ制限回答システム※2」にて確認できます。
福岡空港の高さ制限回答システムについては、こちらのリンクからアクセスできます。
『福岡空港高さ制限回答システム』


<図3:高さ制限回答システム>
ここでは、「福岡県福岡市博多区東平尾公園二丁目」と入力して詳細地図を表示します。


飛行位置周辺の地図が表示されたら、飛行位置にマウスを合わせクリックします。

STEP4:飛行位置の制限高度を確認する。

以上の作業により分かった飛行制限高度は「54.1m」という事になります。
ただし、こちらの高度はあくまで「標高」ですので、この数値から地表の高さを差し引く必要があります。
計算式は以下の通りです。

飛行制限高度「54.1m」-地表の高さ「55.9m」=-1.8m

「マイナス」の数値となった場合は、地表の高さが既に制限高度を超えているという事になります。
この場合は1㎜もドローンを飛行させることができません

飛行したい高度が制限高度を超える場合は、国土交通大臣の飛行許可を得る必要がありますので、空港設置管理者及び空域を管轄する関係機関と調整した後に、DIPSにて飛行許可申請しなければなりません。
申請先は、東日本については東京空港事務所、西日本は関西空港事務所です。包括で提出する各航空局ではないのでご注意ください。

〇空港の制限高度の確認方法

〇空進入表面若しくは転移表面の下、空港の敷地の上空が飛行禁止となる空港


<図4:国土交通省資料進入表より引用>

図4の様に、通常の空港と違い進入表面と転移表面の下では、ドローンを飛行させることが出来ない空港があります。これらの場所で飛行させた場合は航空法違反として50万円以下の罰金となりますのでくれぐれもご注意ください。

指定空港は以下の8つです。
・新千歳空港
・成田国際空港
・東京国際空港(羽田)
・中部国際空国(セントレア)
・関西国際空港
・大阪国際空港(伊丹)
・福岡国際空港
・那覇空港

②ドローン事故で全国初の航空事故調査実施(令和5年7月26日 大分県)

 
<FNNプライムオンライン2023年7月26日配信記事より>

<以下、記事を抜粋>
7月に大分県九重町で起きたドローンの事故を受けて26日、国による現地調査が行われました。ドローンによる事故の報告が義務化されて以降、全国で初の調査となります。
◆TOS鹿島佑里記者
「九重町です。国の調査官がドローンでの事故が起きた現場に入り、現在調査を行っています」この事故は14日、九重町の田んぼで起きました。30代の男性が農薬散布をするためにドローンの訓練をしていたところ、機体を電柱にぶつけました。その後、誤ってプロペラに触れ右手の指を骨折する大けがをしました・・・

記事の続きは、配信元の記事をご確認ください。

記事はこちら⇒https://www.fnn.jp/articles/-/562804

こちらは、2022年12月5日に改正が行われた、運輸安全委員会設置法及び関係法令に基づいて行われた初の調査ということでニュースになりました。

この改正は、無人航空機に関する事故又は重大インシデントが発生した場合の報告、それに伴い虚偽報告を行った者への罰則や運輸安全委員会の事故調査の対象になることなどがあります。

事故・重大インシデントについては、こちらの資料をご参照ください。
「事故・重大インシデントについて(国土交通省航空局 無人航空機安全課 令和5年8月)」

資料によると、2023年8月8日時点で、事故報告は27件、重大インシデントは9件となっております。中でも特に農薬散布に関する物が目立ちますので、十分注意しましょう。

今回の事故に関係する法令は以下の通りです。

「運輸安全委員会設置法」

(目的)
第一条 
この法律は、航空事故等、鉄道事故等及び船舶事故等の原因並びに航空事故、鉄道事故及び船舶事故に伴い発生した被害の原因を究明するための調査を適確に行うとともに、これらの調査の結果に基づき国土交通大臣又は原因関係者に対し必要な施策又は措置の実施を求める運輸安全委員会を設置し、もつて航空事故等、鉄道事故等及び船舶事故等の防止並びに航空事故、鉄道事故及び船舶事故が発生した場合における被害の軽減に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条 
この法律において「航空事故」とは、次に掲げる事故をいう。

二 航空法第百三十二条の九十第一項各号に掲げる事故であつて、国土交通省令で定める重大なもの

「航空法」

(事故等の場合の措置)
第百三十二条の九十 
次に掲げる無人航空機に関する事故が発生した場合には、当該無人航空機を飛行させる者は、直ちに当該無人航空機の飛行を中止し、負傷者を救護することその他の危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。

一 無人航空機による人の死傷又は物件の損壊
二 航空機との衝突又は接触
三 その他国土交通省令で定める無人航空機に関する事故
2 前項各号に掲げる事故が発生した場合には、当該無人航空機を飛行させる者は、当該事故が発生した日時及び場所その他国土交通省令で定める事項を国土交通大臣に報告しなければならない


<国土交通省HPより引用>

「航空法施行規則」

(法第二条第一項第二号の国土交通省令で定める重大なもの)
第一条 
運輸安全委員会設置法(昭和四十八年法律第百十三号。以下「法」という。)第二条第一項第二号の国土交通省令で定める重大なものは、次に掲げるものとする。

一 無人航空機による人の死傷
二 無人航空機による物件の損壊であって、次に掲げるもの
イ 現に人がいる建造物又は車両、船舶等の移動施設の破壊
ロ 当該損壊(イに掲げるものを除く。)により、電気供給施設、電気通信施設、交通施設(車両、船舶等の移動施設を含む。)、教育施設、医療施設、官公庁施設その他の公益的施設の運営に支障が生じたもの
ハ イ及びロに掲げるもののほか、特に異例と認められるもの
三 航空機との衝突又は接触

③列車とドローン衝突事故!(令和5年7月27日 福島県)


7/28(金)10:23 Yahooニュース配信記事より

<以下、記事を抜粋>
『27日午後2時50分ごろ、福島県猪苗代町のJR磐越西線川桁―猪苗代間を走行中の郡山発会津若松行き下り快速列車(2両編成)とドローンが衝突した。乗客と乗務員にけがはなかった。 JR東日本福島支店によると、ドローンの衝突で列車は緊急停車し、乗務員が安全確認を行った。 車両に破損などの異常がみられなかったため、列車は約20分遅れで運転を再開した。 近くにはドローンの操縦者とみられる人がいたという。』

以上が新聞記事です。

包括の許可承認を取得する際に添付する「国土交通省航空局標準マニュアル②」では、以下の様な記載があります。

「3.安全を確保するために必要な体制」
3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制
(10)高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近では飛行させない

無人航空機の飛行に係る許可承認書には、その許可承認の条件として「飛行マニュアルを遵守して飛行させること」という記載があります。従って鉄道の上空や付近では飛行出来ないことになりますのでご注意ください。

 

 

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