今月は「航空法違反による事件」と「事故」があっておりますのでご紹介します。
①「夜間に飲酒操縦」で花火を撮影し摘発!
事件の詳細
9月28日付の産経新聞の記事によると、今年の8月7日の夜、50歳の会社員男性が航空法違反の疑いで書類送検されております。
男性は、「青森ねぶた祭」の一環で開催された花火大会を撮影する目的で、夜間飛行の承認を取得せずにドローンを飛行させていたとのこと。しかも、当日は飲酒をした状態だったようです。
航空法違反の罰則はどうなる?
この場合の罰則はどうなるの?
今回の場合、以下の3つの航空法違反の可能性があります。
①夜間の未承認飛行
②催し物上空の未承認飛行
③飲酒による操縦
①と②の未承認による飛行については「50万円以下の罰金」となります。また、飲酒で飛行させた場合に至っては「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」という非常に厳しい罰則になる可能性がありますので、自動車運転と同じで「飲んだら操縦しない」を徹底しましょう。
②注意!ドローンにる人身事故発生
事故の詳細
9月9日付のNHK NEWS WEBの記事によると、2022年9月9日、北海道の遠軽町(えんかるちょう)で、町の委託を受け町営施設の撮影をしていた業者の操縦するドローンが隣接する金融機関の駐車場に墜落し、そこで清掃作業をしていた50代の男性の頭にあたり、額に怪我をするという事故が発生したとのことです。
警察発表によると、墜落したドローンは、縦25センチ、横36センチの機体とのこと。
撮影する施設から200mほど離れた位置から操縦していたところ、突然、操縦不能になり墜落したとのことでした。尚、飛行に必要な法令上の手続きは取得していたようです。
通信不良による墜落はよく起こる
記事の内容が少なめで、これだけでは詳しい事情は分かりませんが、通信不良による墜落事故は度々起こっております。事故事例は以下のリンクをご参照ください。
実は、当事務所にも時々「ドローンを落して見つからないんだけどどうしたらいいの?」といった問い合わせがあります。ですので、今回はたまたま人身事故ということでニュースになったようですが、ニュースにならない物損や機体紛失などの事故は日々発生していると考えた方が良さそうですね。
ただ、こうした事故を完全に防ぐのは非常に難しいです。
多くの方がお使いのDJI製ドローンには、送受信機間の電波が途絶すると自動帰還モードに入り、離陸した場所に戻ってくるという機能があります。それでも周辺の環境や電波状況により、操縦が効かなくなり構造物に衝突したり、自動帰還機能が働かずに紛失するといったケースの事故が後を絶ちません。
もちろん飛行前にフェールセーフの設定等を入念に確認すること当然ですが、それだけでは通信不良を「完全に防ぐことができない」ということを念頭にフライトさせることが大切です。
③農薬散布ドローンにライセンスは必要?
ライセンスを取得しても許可承認が必要な場合
このニュースレターで以前からお伝えしておりますが、12月5日からライセンス制度が始まります。
ただ、仮に1等または2等ライセンスを取得した場合でも、今まで通り国土交通大臣の「許可承認」を取得しなけばならないケースがあります。それはどういった場合でしょうか?
※レベル4(人口集中地区での補助者なし目視外飛行)でのは除く
○レベル3(人口集中地区以外での補助者なし目視外)の飛行
○地表から150m以上の空域の飛行
○制限表面上空の飛行※空港周辺における所定の高さ以上の空域
○催し場所(イベント)上空の飛行
○危険物の輸送
○物件投下
○認証されていない機体で飛行する場合
ドローンによる農薬散布行為は?
農薬散布行為は、粒剤・液剤を問わず、国土交通大臣の「危険物の輸送」及び「物件投下」の飛行承認が必要となります。従いまして、ライセンス制度が始まっても今まで通り「承認申請」をしなくてはなりません。逆に言うと、必ずしもライセンスを必要としない飛行形態になります。
※最近、ドローンスクールによっては、「ライセンスを取得しないとドローンを飛行できなくなる」旨の説明をしているところがありますが、そんなことはありません。くれぐれもご注意ください!