仕事中に操作ミスでドローンを落して、倉庫の屋根を壊しちゃったんだけど、こんな時には、なにか手続きをしなければいけないの?
ドローンで事故を起こした場合、事故を報告しなければなりません。今回は、幸いにも負傷者はいないようですが、もし負傷者がいる場合は、救護義務が課されます。それでは、今回は、ドローンで事故を起こした際にやるべきことを見ていきましょう。
①ドローンで事故を起こしたらどうするの?
ドローンで事故を起こした場合にやるべきことの手順は以下のとおりです。
1.ただちにドローンの飛行を中止する
2.負傷者がいる場合は救護する
3.事故の詳細を国土交通大臣へ報告する
負傷者がいないケースでも国土交通大臣への報告は義務です。
1.事故と重大インシデントの違いと定義
【事故(Accident)】
事故とは、無人航空機の運航中に発生し、死亡、負傷(重症以上)、または航空機の重大な損傷を引き起こす出来事を指します。これは、航空機の構造的な欠陥や操作ミス、天候などの外的要因が原因で発生することがあります。
【重大インシデント(Serious Incident)】
重大インシデントとは、事故には至らなかったものの、その可能性が高かったり、重大な結果を引き起こす可能性があった出来事を指します。これには、航空機の安全に対する脅威や、重大なシステムの故障が含まれます。
どちらも重要な区別ですが、事故はより深刻な結果を伴うのに対し、重大インシデントは事故に至らなかったものの、注意が必要な状況を示しています。
○無人航空機による事故と重大インシデント
重大インシデントは、事故に至らないケースですが、一歩間違えば事故になりかねない事象ですので、事故を未然に防ぐ意味でも報告が必要です。
2.事故報告一覧と統計情報
報告された情報は、国土交通省のサイトより閲覧できます。これは、自身が運用する機体の事故状況を把握する意味でも、確認しておいた方が良い資料です。
報告内容と統計を見てみると以下の様なことが分かります。
・事故ほとんどが物件の損壊であること
・事故の8割弱が農薬散布機であること
・農薬散布行為での事故は、電線、支線、電柱などへの衝突が多いこと
農薬散布機については、自動航行で飛行させるケースが多いため、パイロットが機体の異変に気付いても、回避措置が遅れる場合があります。また、汎用機と比較して重量も重いため、事故を起こすと損害が大きくなる傾向があります。
3.負傷者発生時の救護義務を怠った場合
<国土交通省資料>
禁止されている飛行の方法は以下の通りです。
・負傷者発生時に必要な措置を行わなかった場合
法第132条の90の「負傷者の救護義務」に違反した場合は、罰則の対象となりますので、必ず迅速な救護措置を心掛けましょう。
4.報告すべきことと報告の方法
事故報告はDIPSで行うことができますので、DIPSへログインし、以下の手順で入力してください。
①
②
③
④
上記の必要事項を入力して『報告』ボタンを押します。
『事故の通報」を行わず特定飛行を行った場合は、航空法第157条の10第2項に従い、30万円以下の罰金が科せられます。
②女性の顔直撃 ドローン事故相次ぐ 2024/12/14(中国福建省)
テレ朝ニュースの記事より一部抜粋
「中国のモルディブ」と呼ばれる湖で撮影された映像です。湖が青く透き通る美しい風景に女性が映り込んだ次の瞬間、ものすごい勢いで女性の顔面に何か黒い物体が直撃しました。物体の正体は、ドローンです。衝撃でドローンの部品が飛び散り、女性は鎖骨のあたりにけがをしたということです。このところ中国ではドローンによる事故が頻発しています。・・・続きはこちら
こちらは国内のニュースではありませんが、ドローンの事故に関しては世界共通の事象ですので掲載しました。ドローンは空に浮いている以上、トラブルがあれば事故は避けられないものです。
もし、ドローンが落下し、ひとやモノに接触した場合、法令に違反していなくても民事上の責任は負うことになります。
ドローンを飛行させるのに、賠償保険への加入は、法律上義務付けられていませんが、国土交通省はドローンの安全な運用を促進するために賠償保険への加入を推奨しております。万が一のためにも是非、賠償保険には加入しておきましょう。
「FLIGHTS×東京海上」ドローン保険のサイトはこちら
③大阪・関西万博におけるドローン飛行等の規制条例(大阪府)
来年(2025年)の4月13日より「EXPO2025大阪・関西万博」が開催されますが、それに伴い、大阪府で小型無人機の規制を行う条例が制定されました。
規制の対象は、小型無人機、操縦装置を有する気球、ハンググライダー(原動機を有するものを含む。)、パラグライダー(原動機を有するものを含む。)等です。
そして期間ですが、こちらは、万博開催期間よりも早い「令和7年1月19日から令和7年10月13日まで」となっております。
適用範囲は「夢洲及びその周辺概ね1000m」です。
この範囲で、期間中にドローンを飛行させた場合は、「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」に処せられる可能性がありますので、絶対に飛ばさないようにお願いいたします。
どうしても仕事でドローンを飛ばさなければならない場合は、万博協会に申請をしてください。
<万博会場で飛行を行う場合の申請方法はこちら>
小型無人機等の飛行を行おうとする場合の手続き
このような大規模イベントがある際は、自治体単位で、時限的にドローンの飛行を禁止する条例が制定される場合がありますので、十分ご注意をお願いいたします。