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ドローンお役立ち情報Vol41『ドローンの違反行為と罰則をまとめてみました』ほか

ドローン関連

仕事でドローンを使いたいと思っていますが、罰則が厳しいと聞いて自社での運用をためらっています。どのような場合にどんな罰則があるのか詳しく教えてください。

ドローンを飛行させるには、航空法や関係法令、小型無人機等飛行禁止法、電波法、道路交通法などを遵守する必要があります。これらの知識を把握し、違反した場合の罰則も知っておくべきです。そこで今日は、特に航空法とその関係法令の「違反行為と罰則」にスポットを当ててご説明します。

①ドローンの飛行に関する法令違反と罰則について

 

 

 

それでは、違反行為と罰則について、個別にご説明したいと思います。
まずは、航空法第132条の85(飛行禁止空域)に関する違反と罰則について見てみましょう。

1.飛行の許可が必要となる空域で違反した場合

○第132条85で無人航空機の飛行が禁止されている空域の図

<国土交通省HP資料>
飛行が禁止されている空域は以下の通りです。
・空港の周辺(制限表面上空の飛行)
・地表より150m以上の上空
・緊急用務空域※災害発生時指定される
・人口集中地区(DID)の上空
 

以上の空域を飛行の「許可なし」又は「許可の要件に反する」違反飛行を行った場合は罰則の対象となります。具体的な事例とその罰則は以下の通りです。

【違反の具体例】

≪ケース1≫
空港の水平表面で、200g以上のドローンを滑走路中心の高度(標点)から45m以上の高さで飛行させた場合。
※仮に標点高度が標高100mの空港の場合、水平表面内では、標高145m未満しか飛行ができません。

≪ケース2≫
水害時に緊急用務空域に指定されたエリアで、50gのトイドローン(模型航空機)を飛行させた場合※100g未満でも対象

≪ケース3≫
全国のDIDの飛行許可を1年間包括で受けているが、許可された機体とは別の機体を飛行させた場合。

このような違反ケースは、「50万円以下の罰金」となります。

 

2.承認が必要となる方法に違反した場合

○第132条86で禁止されている飛行方法(※図の③から⑧)

<国土交通省資料>
禁止されている飛行の方法は以下の通りです。
・夜間飛行
・目視外飛行
・第三者及び第三者の物件から30m未満の距離の飛行
・催し場所上空での飛行

・危険物の輸送
・物件投下

法第132条の86第2項1号から6号までに記載された「飛行の方法」に違反した場合は、罰則の対象となります。

【違反の具体例】

≪ケース1≫
日没の時刻が17時であるが、快晴で外が明るいため17時過ぎに飛行させた場合。
※日没後の飛行は周辺が明るくても夜間飛行の承認が必要

≪ケース2≫
目視外飛行の承認を取得していないが、ドローンの飛行中、プロポの画面を凝視しながら動画を撮影した場合。
※機体から目を離した飛行は目視外飛行にあたるので、撮影中の映像を見ながらの飛行はできません。

≪ケース3≫
飛行エリアの周辺30m以内に電柱や電線がある場所から離陸し、飛行させる場合。
※電柱や電線も「第三者の物件」にあたります。

≪ケース4≫
制限高度20mで催し場所上空の承認を取得しているが、周辺30m以内の立入禁止エリアを設定していない場合。
※高度が変わると立入り禁止エリアも広くなります。

≪ケース5≫
危険物の輸送及び物件投下の承認を取得するために、自身の所有する田んぼの上空で、タンクに水を入れて散布の練習をした場合。
※水の散布も物件投下にあたります。

このような違反ケースは、いずれも「50万円以下の罰金」となります。

3.アルコール又は薬物の影響下で無人航空機を飛行させた場合

○第132条86第1項で禁止されている飛行方法

<国土交通省資料>
禁止されている飛行の方法は以下の通りです。
・アルコールや薬物の影響下での飛行
・高調音や他者を威嚇するような飛行

法第132条の86第1項1号と4号の「飛行の方法」に違反した場合は、罰則の対象となります。

【違反の具体例】
≪ケース1≫
キャンプ場で明け方まで深酒をし、まだアルコールが抜けていないにもかかわらず、ドローンで日の出の撮影を行った場合。

≪ケース2≫
第三者がいるにもかわらず、FPVドローンで人の間を縫うように飛行しながら撮影を行った場合。

アルコール又は薬物の影響下で飛行させた場合は、「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」、他人に迷惑をかける飛行をさせた場合は、「50万円以下の罰金」となります。

4.負傷者発生時の救護義務を怠った場合

○第132条90で規定される救護義務

<国土交通省資料>
禁止されている飛行の方法は以下の通りです。
・負傷者発生時に必要な措置を行わなかった場合

法第132条の90の「負傷者の救護義務」に違反した場合は、罰則の対象となります。

【違反の具体例】
≪ケース1≫
ドローンを誤って人の上に落下させ、けが人が出たが、救護措置を行わなかった場合。

≪ケース2≫
ドローンを飛行中の航空機に衝突させ、それが原因で飛行機が墜落し、死傷者が発生している状況の中、救護措置を行わなかった場合。

このような違反ケースは、2年以下の懲役または100万円以下の罰金と、非常に重い刑罰が科されます。

5.登録を受けていない無人航空機を飛行させた場合

○第132条の1で規定される「無人航空機の登録」
○第132条の5で規定される「登録記号の表示」


<国土交通省資料>
100g未満の機体など一部の例外を除き、無人航空機は国土交通省へ機体登録し、規定のサイズ以上で機体に表示させると同時に、登録情報を入力したリモートIDを搭載しなければなりません。

 

「機体登録義務」、「記号の登録義務」又は「リモートID搭載義務」に違反した場合は、罰則の対象となります。

【違反の具体例】
≪ケース1≫
機体登録の更新をしていない機体を屋外で飛行させた場合

≪ケース2≫
リモートID機能は有しているが、必要情報を入力していない場合※スマートフォンのDIPSアプリを通じてリモートIDに入力させる必要があります。

≪ケース3≫
登録記号をシールで貼り付けていたが、シールがはがれてしまって記号が読み取れない場合。

そもそも機体登録をしていない機体を屋外で飛行させたケースは、1年以下の懲役または50万円以下の罰金、機体の表記やリモートIDへ入力していないケースは50万円以下の罰金がかせられます。

6.飛行計画の通報を行わないで特定飛行を行った場合

○第132条の88で規定される「飛行計画の通報義務」

<DIPS2.0画面>
100g以上のドローンで、特定飛行(許可・承認が必要な飛行)を行う場合は、あらかじめ「ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)」で飛行計画を通報しなければなりません。

 

「飛行計画の通報」を行わず特定飛行を行った場合は、罰則の対象となります。

【違反の具体例】
≪ケース1≫
承認を得ていないにもかかわらず、屋外で目視外飛行の訓練を行った場合

≪ケース2≫
通報した飛行時刻を超えて飛行させた場合

飛行計画の通報をせずに特定飛行を行った場合、30万円以下の罰金が科せられます。

7.飛行日誌を備えずに特定飛行を行った場合

○第132条の89で規定される「飛行日誌の記載義務」

<DIPS2.0画面>
ドローンを特定飛行する(した)場合、飛行・整備・改造などの情報を遅滞なく飛行日誌に記載しなければなりません。

 

特定飛行を行う際に飛行日誌を備えない、飛行日誌に記載すべき事項を記載しない又は虚偽の記載を行った場合、罰則の対象となります。

【違反の具体例】
≪ケース1≫
飛行日誌を携帯せずに特定飛行をさせた場合。

≪ケース2≫
所定の飛行前後の点検をしていない場合、又は点検はしているが、内容を記載していない場合。

特定飛行を行う際に飛行日誌を備えない、飛行日誌に記載すべき事項を記載しない又は虚偽の記載を行った場合は10万円以下の罰金が科せられます。

8.その他の罰則

色々と罰則が厳しいようなので、しっかりと法令を把握して飛行させないといけませんね。

そうですね。なかなか自身で学習するのは難しいと思いますので、登録講習機関でしっかりと学んで、操縦ライセンスを取得するというのも一つの方法ですね。
その他の違反行為も含めて罰則と一覧にしてみましたので、是非ご確認ください!

 

【違反行為と罰則一覧】

違反行為 罰則
・事故が発生した場合に飛行を中止し負傷者を救護するなどの危険を防止するための措置を講じなかったとき 2年以下の懲役又は
100万円以下の罰金
・登録を受けていない無人航空機を飛行させたとき 1年以下の懲役又は
50万円以下の罰金
・アルコール又は薬物の影饗下で無人航空機を飛行させたとき 1年以下の懲役又は
30万円以下の罰金
・登録記号の表示又はリモートIDの搭載をせずに飛行させたとき
・規制対象となる飛行の区域又は方法に違反して飛行させたとき
・飛行前の確認をせずに飛行させたとき
・航空機又は他の無人航空機との衝突防止をしなかったとき
・他人に迷惑を及ぽす飛行を行ったとき
・機体認証で指定された使用の条件の範囲を超えて特定飛行をおこなったとき等
50万円以下の罰金
・飛行計画を通報せずに特定飛行を行ったとき
・事故が発生した場合に報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき等
30万円以下の罰金
・技能証明を携帯せずに特定飛行を行ったとき
・飛行日誌を備えずに特定飛行を行ったとき
・飛行日誌に記載せず、又は虚偽の記載をしたとき
10万円以下の罰金

②自衛隊基地の上空をドローンが・・・会社役員を書類送検2024/10/7(静岡県富士市)

<テレビ静岡HP 10/17(木)県内ニュース記事より>

記事より一部抜粋
小型無人機などの飛行が禁止されている自衛隊施設の上空でドローンを飛ばしたとして、静岡県富士市に住む会社役員の男が書類送検されました。
小型無人機等飛行禁止法違反の容疑で書類送検されたのは富士市に住む会社役員の男(62)で、7月31日午前6時頃、航空自衛隊 御前崎分屯基地の上空でドローン1機を飛行させた疑いです・・・続きはこちら

「小型無人機等飛行禁止法」については、此方のニュースレターでも何度か取り上げてきましたが、国の重要施設及びその周囲おおむね300mの周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を禁止する法律ですね。


今回の施設は、対象施設は以下の通りです。

 対象施設:陸上自衛隊御前崎分屯基地

赤の枠が、対象施設上空(レッドゾーン)、青枠が周辺約300m(イエローゾーン)となります。

対象防衛関係施設及びその指定敷地等の上空で小型無人機等の飛行を行った者は、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられますので、飛行する場合は必ず事前通報を行ってください。

「小型無人機等飛行禁止法」の解説はこちらのバックナンバーで↓

ドローンお役立ち情報Vol29『いつも飛ばしているところが飛行禁止区域に?』・・・ほか
日頃のドローンの運用にお役立てください! 今月のINDEX ①いつも飛ばしているところが飛行禁止区域に?『小型無人機...

③福島空港、ドローン飛行で滑走路を閉鎖 2024/11/7(福島県石川郡玉川村)


<福島民友 11/7(木)記事より>

記事より一部抜粋
福島空港大阪線は6日、福島空港制限区域内でドローン飛行が発見され、滑走路が閉鎖となったため、伊丹発福島行きの全日空1697便が欠航した。110人が搭乗予定だった・・・続きはこちら

福島空港の制限表面は以下のとおりです。

 

<福島空港の制限表面>

約3.5㎞の水平表面と進入表面の上空は飛行禁止です。

 

特に空港に近い場所については、必ず空港管理者及び航空管制官に照会をし、制限高度以下で飛行するようにしてください。特に進入表面での飛行は、制限高以下であっても十分注意をお願いします。

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