
小型無人機等飛行禁止法に要注意(2025年最新事例)
①小型無人機等飛行禁止法のおさらい

今回は、小型無人機等飛行禁止法の最新の指定事例と、それに伴い送検された検挙事例について取り上げます。
なお、同法の基本的な内容については、2023年10月30日付ニュースレターで詳しくまとめておりますので、今回は簡単な記載にとどめます。まだ十分に理解されていない方は、先にそちらをご参照のうえ学び直しをお願いいたします。過去記事のリンクはこちら↓

小型無人機等飛行禁止法の概要

小型無人機等飛行禁止法とは、法令で指定された国の重要施設の上空と、その周辺おおよそ300mの範囲では飛行してはいけない、という内容でしたよね。

はい、その理解で正しいです。
小型無人機等飛行禁止法(平成28年法律第9号)では、
・国会議事堂、皇居、首相官邸、最高裁判所などの 国の重要施設
・外国公館、防衛関係施設、原子力事業所、空港などの 安全上特に重要な施設
・さらに大規模イベント会場など、時限的に指定される施設
これらの敷地上空とその周囲約300mの範囲で、ドローンなどの小型無人機を飛行させることが禁止されています。
📝 法律の概要
・正式名称:重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律
・施行:2016年(平成28年)
・目的:テロ防止・安全確保のため、重要施設周辺でのドローン等の飛行を禁止
🚫 規制対象
・小型無人機
・ドローン(回転翼航空機)、ラジコン飛行機、無人滑空機、無人飛行船など
・特定航空用機器
・気球、ハンググライダー、パラグライダーなど、人が乗って飛行できる軽航空機
※100g未満でも対象となる
📍 飛行禁止エリア
・対象施設の敷地・区域の上空
・その周囲約300mの上空
対象施設には:
・国会議事堂、皇居、首相官邸、最高裁判所
・外国公館、防衛関係施設、原子力事業所、空港
・大規模イベント会場(指定された場合)
など
✅ 空域を飛行させるには(飛行できるケース)
以下の場合は飛行可能ですが、公安委員会への事前通報 が必要です。
・施設管理者の同意を得た場合
・土地所有者が自分の土地上空で飛行する場合
・国や自治体の業務で必要な場合
⚖️ 罰則
・違反すると 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
・警察官による退去命令や機器の没収などの措置もあり
②小型無人機等飛行禁止法の注意ポイント
常設指定と時限指定

この法令で飛行が禁止される区域と指定権者は、条文にて以下の定められています。
国会議事堂、首相官邸、最高裁判所、皇居など
→ 所管者(衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、最高裁判所長官など)が指定
第4条(政党事務所)→総務大臣が指定
第5条(対象外国公館等)→外務大臣が指定
第6条(防衛関係施設)→防衛大臣が指定
第7条(空港)→国土交通大臣が指定
第8条(原子力事業所)→経済産業大臣が指定

なお、すべての各条文の最後の項には、
「○○は、○○の敷地又は区域ならびに当該○○に係る対象施設周辺地域の指定を解除したときは、その旨を官報で告示しなければならない」
と記載されています。
つまり、常設されている場所以外でも、担当大臣等が区域を指定し、官報に告示すれば指定できる仕組みになっているのです。
さらに、第9条では次のように定められています。
「国は、対象施設、対象施設の指定敷地等及び対象施設周辺地域を国民に周知するため、対象施設、対象施設の指定敷地等及び対象施設周辺地域に関する地図を作成し、インターネットの利用その他の方法により公表するものとする」
このため、指定された区域は国土交通省のホームページやX(旧Twitter)などを通じて周知されることとなります。
常設以外に指定された事例(2023年以降)

お伝えしたように、この法律では、常設の飛行禁止区域だけでなく、時限的に飛行禁止区域が指定されるケースがあります。近年の主な指定事例を見てみましょう。
G7広島サミット(2023年5月)
- 規制期間:2023年4月19日~5月22日
- 対象区域:グランドプリンスホテル広島周辺、平和記念公園付近など
- 特徴:条例による時限的な規制で、サミット終了後は解除
G7長崎保健大臣会合(2023年5月)
- 規制期間:2023年4月~5月の特定期間
- 対象区域:会合開催施設とその周辺約300m
- 指定解除:2023年4月28日10時38分をもって解除
大阪・関西万博(2025年4月13日~10月13日)

こちらは、先日閉幕したばかりなので記憶に新しいかと思いますが、最も長期間の時限指定例として実施されました。特徴としては、イエローゾーンを周辺300mではなく、条令にて1,000mとした点ですね。
⚠️ 重要な規制情報
- 規制期間:2025年1月19日~10月13日
- 対象区域:会場の人工島・夢洲とその周辺約1,000mの範囲
- 対象機器:
- 小型無人機(ドローン)
- 操縦装置を有する気球
- 原動機を有するハンググライダーやパラグライダー
- 罰則:違反した場合、1年以下の拘禁または50万円以下の罰金
万博会場内でドローンを飛行させる必要がある場合は、博覧会協会への申請が必要であった。
時限的に飛行禁止区域が指定されるケース

時限的な飛行禁止区域は、主に以下のケースで指定されます。
1. 国際的な大規模イベント
- G7サミット、G20サミットなどの国際会議
- オリンピック、万博などの国際的イベント
- 各国首脳が参加する国際会議
2. 天皇陛下が臨席される式典
- 国民祭典
- 即位礼正殿の儀
- 全国豊かな海づくり大会
- その他の重要な式典行事
3. 大規模スポーツイベント
- 国体などの全国規模のスポーツ大会
- 国際的なスポーツ競技大会
📢 周知方法を確認する
③検挙や送検例

小型無人機等飛行禁止法違反による検挙事例が増加しています。最新の事例を確認しましょう。
2025年の最新事例
大阪万博会場内 中国人関係者による違反事例
概要:大阪・関西万博の準備段階において、万博の関係者である中国人がドローンを飛行させたところ、その場にいた警察官が発見し、違反として摘発された事例です。
違反内容:
・万博会場周辺の飛行禁止区域内でドローンを飛行
・小型無人機等飛行禁止法違反
特徴:
・万博の関係者であっても例外なく規制対象
・現場で警察官が発見し、即座に対応
教訓
・「関係者だから」は通用しない:たとえイベントの関係者であっても、正規の手続きなしに飛行させれば違反となります
・外国人でも日本の法律が適用される:国籍に関わらず、日本国内でのドローン飛行は日本の法律に従う必要があります
・警察による監視が厳格:重要イベント周辺では警察官が常時監視しており、違反は即座に発見されます
④罰則の内容
⑤検挙事例から学ぶべきこと
共通する違反のパターン
- 「知らなかった」は通用しない
法律の不知は違反の免責理由にならない - 「関係者だから大丈夫」という思い込み
イベント関係者や業務での利用でも正規手続きが必須 - 手続きの一部を怠る
飛行許可を取得しても飛行計画通報を忘れるケース - 外国人でも容赦なく摘発される
国籍に関わらず日本の法律が適用される

💡 違反を避けるには
これらの事例から、事前の十分な確認と手続きの徹底がいかに重要かが分かります。「このくらいなら」「ちょっとだけなら」という安易な判断が、検挙につながることを肝に銘じましょう。
⑥違反を避けるための方法

小型無人機等飛行禁止法違反を避けるために、以下の確認手順を踏みましょう。
1. 飛行前の必須確認事項
⑦ やむを得ず飛行させる場合の手続き

飛行禁止区域内でどうしても飛行させる必要がある場合は、公安委員会へ通報が必要です。
- ステップ1
- 施設管理者等の同意を得る
- 対象施設の管理者
- 土地の所有者・占有者
- ステップ2
- 公安委員会への事前通報
- 飛行させる日時
- 飛行経路
- 飛行目的
- 連絡先
通報先: 飛行させる場所を管轄する都道府県公安委員会
(実際には管轄の警察署を通じて通報) - ステップ3
- 航空法の許可・承認も取得
小型無人機等飛行禁止法の手続きとは別に、航空法に基づく許可・承認も必要な場合があります。両方の法律をクリアする必要があります。
⑧まとめ

小型無人機等飛行禁止法は、テロ対策を目的とした重要な法律です。2025年現在、以下のポイントを押さえておきましょう。



