
①ドローンで事故を起こしたらどうする?

さっきドローンで屋根の点検をしていたら、電線にひっかけてしまって、そのまま隣の家の屋根に落としてしまいました。こういう場合、最初にどこへ連絡すればいの・・・?

事故を起こした場合、まず落ち着いて状況を把握し、人にけががないかを確認してください。次に、隣家の方へ丁寧に事情を説明し、国土交通大臣への事故の報告をします。その後、保険会社などに連絡して補償の対応を検討します。
ここで大事なのは、ドローンの事故は航空法により国土交通大臣への報告が義務とされているという点です。それでは、実際に事故が起きた際の対応の流れを整理してご説明します。
無人航空機の事故等の報告及び負傷者救護義務

ドローンの操縦者には、「無人航空機の事故等の報告及び負傷者救護義務」が課されています。これは、飛行中に事故や重大なトラブルが発生した場合、まず飛行を直ちに中止し、怪我人がいれば救護を最優先に行い、その後、発生した日時や場所、状況を国土交通大臣に報告することを求める制度です。
報告を怠ったり虚偽の報告をした場合は30万円以下の罰金、救護や危険防止措置を怠った場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
これは、安全確保と再発防止のために重要な義務です。
事故と重大インシデント

無人航空機による重大なアクシデントは、「事故」だけではなく「重大インシデント」も含まれます。ここでいう「事故」とは、ドローンの飛行により人が死傷したり、第三者の物件を損壊したり、制御不能や発火など実際の被害が発生した場合を指します。一方「重大インシデント」は、衝突の恐れや操縦不能に陥りかけるなど、事故には至らなかったものの重大な危険があった事態を指し、いずれも国土交通大臣への報告義務があります。
事故と重大インシデントの違い

<国土交通省資料:「事故・重大インシデントについて」より>
ドローン運用では「事故」と「重大インシデント」が区別されます。ポイントは被害が発生したかどうかです。
事故
- 定義: 人の死傷(重傷以上)・物損が発生
- 例: 通行人に接触し負傷、建物の窓破損
- 対処: 救護・119/警察・現場記録・国交省報告・保険対応
重大インシデント
- 定義: 人の負傷(軽傷)、操縦不能に陥った場合など、事故には至らないが重大な事象
- 例: 高度制御不能で墜落寸前に回避、バッテリー発火寸前
- 対処: 国交省報告・原因分析・再発防止
事故が発生した際の対応

ドローンの飛行中に事故が発生した場合は、すぐに飛行を中止します。その後、人にけががないかを最優先で確認します。負傷者がいれば応急処置や救急要請を行います。次に、隣家や関係者に誠意をもって事情を説明し、被害の有無を確認します。そして重要なのは、航空法に基づき事故や重大インシデントが発生した日時・場所・状況を国土交通大臣に報告する義務がある点です。併せて加入している保険会社へ連絡し、補償の対応を検討します。これらを順に行うことが、事故対応の基本的な流れです。
事故発生! → 人身事故はあるか?
- 救護: 応急処置を最優先
- 通報: 119・警察へ連絡
- 保全: 現場安全確保・機体回収
- 記録: 写真・動画・証言の確保
- 報告: 国土交通大臣・保険会社へ
- 再発防止: 原因分析と対策
いいえ(物損のみ)
- 対応: 被害者説明・謝罪
- 記録: 写真・動画で現場記録
- 交換: 連絡先の交換
- 相談: 必要に応じて警察
- 報告: 国土交通大臣・保険会社へ
- 再発防止: 原因分析と対策
無人航空機の事故及び重大インシデントの報告要領

無人航空機の事故や重大インシデントを起こした場合は、国土交通大臣への報告義務が発生しますが、その報告要領を以下のように要約しました。
1. 目的
・ドローンの事故や重大インシデントが起きた際に、原因を明らかにし再発防止につなげるための制度
・操縦者にペナルティを与えることが目的ではなく、安全向上への協力を重視
2. 適用範囲
・航空法第132条の90・91に基づき、操縦者が国土交通大臣へ報告する義務がある。
・「事故」と「重大インシデント」の定義が明確化されている。
3. 事故の定義
・ドローンによる人の死傷(重傷以上を含む)
・第三者の物件の損壊(軽微な破損も含む)
・航空機との衝突や接触による損傷
・制御不能や飛行中の発火など
4. 重大インシデントの定義
・航空機との衝突・接触の恐れがあった場合
・ドローンが制御不能に陥った場合
・飛行中にバッテリー切れや機体不具合で危険が生じた場合
・発火の恐れがあった場合など
5. 事故発生時の操縦者の義務
・直ちに飛行を中止する
・負傷者がいれば救護する(応急処置や救急要請)
・危険の拡大を防ぐため必要な措置をとる
6. 報告内容
報告には以下の情報を含める:
・操縦者の氏名・住所・所属
・発生日時、場所
・使用した無人航空機の情報(登録番号、型式、製造番号など)
・飛行目的・概要
・事故やインシデントの内容(死傷者・物損・機体損傷など)
・添付資料(地図、写真、診断書など)
7. 報告方法
・原則として「DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)」を通じてオンラインで報告
・やむを得ない場合は所定の様式を用いて管轄の航空局や空港事務所へ提出
・緊急時は電話やメールでの連絡も可能
8. 報告先
・国土交通省 航空局 安全部 無人航空機安全課
・東京航空局、大阪航空局、主要空港事務所(羽田・関西など)
9. 罰則
・報告を怠ったり虚偽の報告をした場合 → 30万円以下の罰金
・救護や危険防止措置を怠った場合 → 2年以下の懲役または100万円以下の罰金

なるほど!事故だけではなく、一歩間違えれば事故に繋がる恐れがある重大インシデントでも報告しなければならないんですね!
DIPS2.0での報告手続き
※詳しくは航空局のマニュアルを「<事故情報報告編>01.事故情報登録方法」を参照ください

①ログイン後に、ドロップダウンリストより『事故等の報告』をクリックする

②『事故等の報告へ』のボタンをクリックする

③「事故等報告メインメニュー」画面が開いたら、『事故情報一覧』をクリックする

④『事故等の報告(DIPS2.0で申請した飛行)』又は『事故等の報告(その他飛行)』をクリックする
⑤必要項目を入力またはファイルを添付し、最下部の『報告』ボタンをクリックして完了です
事故・重大インシデント等の発生状況


事故・重大インシデントの報告が義務化された令和4年12月以降、令和7年3月までの2年4ヶ月の間に航空局へ報告が上がっている数は194件です。なお、全体の70%近くは農薬散布機となっております。
詳しくは以下の「無人航空機に係る事故等報告一覧(令和4年12月5日以降に報告のあったもの)」ご確認ください。
事故を回避するために

ドローンの事故を防ぐためには、まず飛行前の入念な準備が欠かせません。機体やバッテリー、プロペラなどの点検を行い、異常がないかを確認します。次に、天候や風の強さ、周囲の障害物や電線など環境条件を把握し、安全に飛行できる状況かを判断します。飛行中は常に目視で機体を確認し、無理な高度や距離での操作を避け、電波干渉やGPS不良が起きやすい場所では特に注意が必要です。また、操縦者自身がルールを守り、冷静に判断できるよう心構えを持つことも重要です。これらを徹底することで、事故を未然に防ぎ、安全な運航につながります。
ドローンの事故を回避するためには、いくつかの基本的なポイントを押さえておくことが大切です。
飛行前の準備
・機体点検:プロペラの損傷、バッテリー残量、GPSやセンサーの動作確認を必ず行う。
・環境確認:天候(風速・雨・視界)、周囲の障害物(電線・木・建物)を事前にチェック。
・飛行計画:緊急着陸できる場所をあらかじめ想定しておく。
飛行中の注意
・目視飛行の徹底:常に機体を目で追える範囲で操縦する。
・高度・距離の管理:無理に遠くや高く飛ばさず、設定した範囲内で操作する。
・電波・GPSの確認:電波干渉やGPS不良が起きやすい場所では慎重に。
操縦者の心構え
ルール遵守:航空法や国交省ガイドラインを守る。
技術向上:定期的な練習やシミュレーションで操作に慣れる。
冷静な判断:異常を感じたらすぐに着陸や飛行中止を選択する。
②25㎏以上のドローンは保険加入が義務化されました

令和7年10月1日から、重さ25kg以上のドローンを飛ばすために新しく「飛行許可・承認」を申請する場合は、もし事故が起きて人がけがをしたり、交通に支障が出たりしたときに備えて、第三者賠償責任保険に入っていることが必須になります。

<国土交通省HPより引用>
注意点
・許可や承認を申請するときには、必ず保険に加入していることを申請書に書く必要があります。
・実際に飛ばすときには、保険が有効かどうか、期限が切れていないかを必ず確認してください。




