①2025年12月5日以降、操縦技能証明がないと許可更新ができないの?

今年12月にドローンの民間資格の行政効力が失われると聞きました。現在、操縦技能証明(以下「操縦ライセンス」)は未取得ですが、制度変更後は操縦ライセンスがないとドローンの飛行許可申請ができなくなるのでしょうか?

最近、この点について多くのお問い合わせをいただいております。以下に詳細を整理してご説明いたします。
(1)ドローンの民間資格とは?

ドローンの民間資格とは、国が発行する「操縦ライセンス」(国家資格)とは異なり、民間の団体やスクールが独自に発行する任意の技能認証の総称です。一般的には、国土交通省航空局のホームページに掲載されている講習団体が発行する技能証明を指します。
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この制度はいつから始まったの?

この制度は、2017年4月に開始されました。当時は、ドローンの飛行許可申請において操縦者の技能を証明する手段が限られていたため、民間団体が実施する講習の信頼性を担保する目的で、一定の基準を満たした団体を航空局のホームページに掲載する制度が導入されたのです。
【HP掲載講習団体の制度】
<制度開始の背景と目的>
- 2017年4月に制度開始
- 当時は操縦技能の証明手段が限られていたため、信頼性のある団体を掲載することで制度化
- 民間講習の質を担保し、飛行申請の審査簡略化を目的とした
<HP掲載講習団体の役割>
HP掲載講習団体が行う講習は、国土交通省が定める「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」における操縦者の技能証明に関する要件の一部を代替・簡略化する仕組みとして位置づけられていました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 操縦者の技能確認 | 審査要領では、操縦者が飛行に必要な知識・技能を有することが求められる。HP掲載団体の技能証明がその証拠として認められる |
| 様式3の省略 | 許可・承認申請書「飛行経歴・知識・能力確認書(様式3)」の記載を省略可能。技能証明の写しを添付することで代替できる |
| 追加基準への適合性 | DID上空、夜間、目視外などにおける追加基準への適合性も、技能証明により一部省略可能 |
| 審査負担の軽減 | 航空局側の審査負担を軽減し、申請者の手続きも簡素化される仕組みとして運用されていた |
(2)民間資格の効力失効後はどうなる?

その「HP掲載講習団体」が発行する資格の効力が12月に失効するということは、飛行許可の更新ができなくなるの?

少し誤った認識をお持ちのようなので、ご説明します。
2025年12月5日以降は、HP掲載講習団体が発行する民間資格を、飛行申請の簡略化に使える制度が終了しますが、これは、あくまで行政上の優遇措置がなくなるということですので、民間資格自体の効力が失われるわけではありません。具体的には以下のとおりです。
2025年12月5日以降に失われる民間資格の効力
|
項目 |
〜2025年12月4日まで |
2025年12月5日以降 |
|---|---|---|
|
飛行申請時の技能証明としての使用 |
✅ 使用可能(様式3省略など) |
❌ 使用不可(省略不可) |
|
DIPS2.0での申請簡略化 |
✅ 技能証明添付で簡略化 |
❌ 技能証明では簡略化不可 |
|
行政審査上の信頼性 |
✅ 一定の信頼性あり |
❌ 行政的効力なし |
|
国家資格取得時の優遇措置 |
✅ 経験者枠として講習時間短縮・費用割引(講習機関により扱いが異なる) |
✅ 経験者枠として講習時間短縮・費用割引(同左) |
|
業務・社内教育での活用 |
✅ 技能を証明する手段として有効 |
✅ 継続(行政手続き以外で有効) |
|
制度上の位置づけ |
✅準公的資格として活用 |
✅任意資格として存続(行政効力なし) |
📌 要点まとめ
- 民間資格が廃止されるわけではない
- 行政手続き上の効力は失われる
- 国家資格がなくても、従来通りの飛行許可・承認申請は可能
- 申請書の様式3は省略できない
- 飛行申請時の「技能証明」としては国家資格のみが有効
- 民間資格は今後、教育・業務用途でのスキル証明として活用

今のところ、民間資格の効力失効後も、飛行許可の更新は可能です。ただし、新規申請の場合、操縦技能の裏付けとして操縦ライセンスの取得を考慮することをおすすめします。申請要件の達成には、民間資格に基づく自主訓練だけでは不十分とされる可能性があります。
なお、今後の法令改正により、操縦ライセンスが必須となることも予想されますので、引継ぎ注視する必要がありますね。
②玄海原発「ドローン」、操縦者や目的は謎のまま…(2025.8.2読売新聞より)

九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)でドローンとみられる三つの飛行体が確認された問題は、2日で発生から1週間となる。重要インフラが標的となった異例の事態。操縦者や目的は明らかになっておらず、佐賀県警は小型無人機等飛行禁止法(ドローン規制法)違反などを視野に捜査している。専門家は「空からの脅威」への抑止力強化を訴える。・・・・続きは・・・こちら
記事の要約
📍 概要と経緯
九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)で、7月26日夜に光を放つ飛行体が目撃され、ドローンとみられる不審物が複数回出現。操縦者・目的は不明で、佐賀県警がドローン規制法違反などの捜査を進めている。
🛸 飛行体の特徴と懸念
- 明らかに低空飛行でモーター音が確認された
- 原発の監視カメラに映らず、長時間飛行から固定翼型VTOL機の可能性も
- 一般的なドローンには重要施設上空の飛行禁止プログラムが組まれていることが多い
📢 対応と課題
- 九州電力は原子力規制庁に通報し、近隣自治体・関係県へも通知
- 情報伝達の遅れや監視体制の不備への不満も
- 地元自治体からは防御機能の不在を懸念する声
- 危機管理体制の検証と改善が求められている
🎯 飛行の目的と安全性評価
- 飛行目的の可能性:①攻撃 ②いたずら ③情報収集
- 今回は攻撃の痕跡なし
- 原子炉建屋はドローン程度では被害が生じない頑丈な構造
- 抑止力の強化と、即座に無効化・回収する装備と連携体制の構築が急務

原発周辺300メートルは、小型無人機等飛行禁止法により規制されていますが、悪意を持った操縦者による飛行については、現行制度では十分に阻止できないのが実情です。安全保障の観点からも、危機管理体制の早急な強化・改善が求められます。





