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ドローンお役立ち情報Vol43『勝手に他人の土地の上を飛ばしていいの?』ほか

ドローン関連

 

①勝手に他人の土地の上を飛ばしていいの?

今度、撮影で上の写真の空域を飛ばす予定ですが、なにか注意しなければいけないことはありますか?飛行の概要は以下のとおりです。


【飛行概要】

・撮影は午前中(夜間にあたらず)

・「目視外」「第三者30m以内」の包括承認取得済

・飛行高度は地表から100m以下

・飛行経路下にある道路は農道で交通量は少ない
・飛行エリアにある家屋への出入りは補助者が確認する。

・操縦者1名、補助者は2名
・飛行中は、飛行エリアに第三者が立ち入らないように管理をする

場所を確認しましたが、制限表面内でもないので航空法その他関連法令には抵触しないようですが・・・ちなみに飛行エリアにある土地の所有者には、こちらの計画は説明されましたか?

操縦者や補助者が立ち入るところには話をしていますが、ドローンを飛ばすのは上空なので、その下の農地の所有者にはなにも話してはいません。なにか問題でしょうか?

それはあまり良くないですね・・・立ち入る土地の所有者に確認するのは当たり前ですが、ドローンの飛行エリアの土地の所有者にも説明をしておかないと後々揉めごとになる場合もあるので、説明はしておいた方が良いです。ちょうど良いので、今月は「他人の土地の上を飛ばす場合に許可が必要か」というタイトルで一緒に見ていきましょう。

1.土地の所有権

(土地所有権の範囲)
第207条 土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ

こちらは民法における土地の所有権の範囲を示した条文です。
土地の所有権と聞くと、一般的には土地の利用するための権利
をイメージする方が多いと思いますが、民法では「土地の上下に及ぶ」となっております。しかし、こちらの法令では、所有権の範囲が具体的に「地下〇m、上空〇mまで及ぶ」と示されているわけではありません。ただ「法令の制限内において」と条件付きになっているため、所有権が無制限に土地の地下と上空に及ぶわけではないということは想像ができますね。それでは土地の所有権は、具体的にどのくらいの高さまで認められているのでしょうか?

地下の所有権
【地下に関する法律】
大深度地下使用法
「大深度地下法」とは、正式には「大深度地下の公共の利用の促進に関する特別措置法」といい、日本において地下40メートル以深の土地を利用する際に適用される法律です。この法律は、公共の利益のために地下を効率的に利用することを目的とします。
具体的には、地下鉄や高速道路、トンネルなどの大規模なインフラ整備に適用されることが多いです。この法により、地上や浅い地下の土地所有者の権利を保護しながら、大深度地下の利用が容易になります。つまり、地下40メートルより深い部分での公共の工事や施設の設置が、地上の土地所有者の同意を得ることなく行われることが可能となります。なお、適用の対象となる地域は、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の一部、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県の一部、愛知県、三重県の一部です。

所有権との兼ね合い
大深度地下法と所有権の関係は非常に重要なポイントです。この法律の特徴の一つは、地下40メートル以深の土地の利用について、地上の土地所有権と異なる取り扱いをする点にあります。具体的には、地上の土地所有者の権利は地下40メートル以深には及ばず、そのため地下40メートル以深の大深度地下空間を公共利用する際には、地上の土地所有者の同意を得る必要がありません。これにより、大規模なインフラプロジェクト(例:地下鉄、高速道路のトンネルなど)が円滑に進められるようになっています。
なお、この法律は、公共の利益を優先するために制定されているため、地上の土地所有者に対する補償やその他の権利保護措置も用意されています。
上空の所有権

上空に所有権が及ぶといっても、ヘリや飛行機は勝手に飛んでますよね?
でしたらドローンを飛ばしてもいいんじゃないですか?

そうですよね。ただ、上空については、大深度地下法と違い、「公共性の高い飛行については上空〇m以上は所有権が及ばない」といった具体的な決まりがありません。ですから、「航空機がなぜ他人の土地の上を自由に飛行できるのか?」といった問いに、明確な回答できる根拠が無いんです。
そこで、これまで様々な解釈がなされたのですが、その中でも有力な解釈とされていたのが、「所有権は建物上端から300mまで」という説です。

上空の所有権に関する解釈

航空法(最低安全高度)
第81条 航空機は、離陸又は着陸を行う場合を除いて、地上又は水上の人又は物件の安全及び航空機の安全を考慮して国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行してはならない。但し、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない

航空法施行規則(最低安全高度)
第百七十四条 法第八十一条の規定による航空機の最低安全高度は、次のとおりとする
一 有視界飛行方式により飛行する航空機にあつては、飛行中動力装置のみが停止した場合に地上又は水上の人又は物件に危険を及ぼすことなく着陸できる高度及び次の高度のうちいずれか高いもの
イ 人又は家屋の密集している地域の上空にあつては、当該航空機を中心として水平距離六百メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から三百メートルの高度
ロ 人又は家屋のない地域及び広い水面の上空にあつては、地上又は水上の人又は物件から百五十メートル以上の距離を保つて飛行することのできる高度
ハ イ及びロに規定する地域以外の地域の上空にあつては、地表面又は水面から百五十メートル以上の高度
二 計器飛行方式により飛行する航空機にあつては、告示で定める高度

ドローンが一般に浸透する以前は、こちらの法令を根拠として、「300m以上の空域は航空機が飛行できるのだから、土地の所有権が及ぶのも300mまで」といった解釈で説明がなされていましたが、そもそも300m以上は所有権が及ばないといった明記されているわけではないので、この法令を根拠に「土地の所有権を制限できる」とするには少し無理がありそうですね。

また、ドローンが一般的になってきた際には、「航空機の運航は公共性が高いが、ドローンについては公共性が低いため、他人の土地の上を飛ばす場合は所有者の許可が必要である」と言われることもありましたが(実際にドローンスクールの教本などはこのような記述が見受けられた)、これからドローンのレベル4の運用が本格的に始まり、ドローンでの配送やインフラ点検などの公共性の高い飛行が社会実装されていけば、個人の趣味で飛ばしている航空機と比べて、どちらが公共性が高いかは言わずもがなですので、この解釈も成り立たなくなりそうですね。

無人航空機の飛行と土地所有権の関係について

様々な解釈がある中で、2021年6月28日に内閣官房小型無人機等対策推進室より、「無人航空機の飛行と土地所有権の関係について」という見解が出されました。以下はその原文です。

(別添4)
無人航空機の飛行と土地所有権の関係について
令和3年6月28日 内閣官房小型無人機等対策推進室
無人航空機を第三者の土地の上空において飛行させる場合における土地所有権との関係について、法務省民事局とも調整の結果、下記の通り整理した。関係者におかれては、無人航空機を飛行させるに当たり、この整理を理解の上、安全運航の徹底と地元の理解と協力の確保に努められたい。

 【土地所有権の範囲についての基本的考え方】
民法においては、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」(第 207 条)と規定されているが、その所有権が及ぶ土地上の空間の範囲は、一般に、当該土地を所有する者の「利益の存する限度」とされている。このため、第三者の土地の上空において無人航空機を飛行させるに当たって、常に土地所有者の同意を得る必要がある訳ではないものと解される。この場合の土地所有者の「利益の存する限度」の具体的範囲については、一律に設定することは困難であり、当該土地上の建築物や工作物の設置状況など具体的な使用態様に照らして、事案ごとに判断されることになる。

○無人航空機の飛行と土地所有権との関係に関する補足
1.「利益の存する限度」をより具体化、予測可能にできないか
土地所有者の「利益の存する限度」は、無人航空機飛行時における当該土地上の建築物や工作物の設置状況など具体的な使用態様に照らして判断される。なお、無人航空機の運航に関する将来的な計画を立てる際には、当該土地に係る容積率、用途制限等から将来的な土地の使用態様をある程度予測することが可能であると考えられる。
2.一律の高度以下の飛行には所有者の同意が必要なのか
土地の所有権の及ぶ土地上の空間の範囲についての基本的考え方は、上記の通りであり、当該土地の使用態様の如何にかかわらず、無人航空機が土地の上空を飛行するに当たって当該土地の所有者の同意が必要となる高度についての一律の基準は存在しない。なお、航空法において規定されている最低安全高度は、あくまで安全確保の観点からの規制であり、土地所有者の“利益の存する限度”の範囲を定めるものではない。
3.いわゆる“上空通過権”について
民法上、土地上の空間の一定範囲に設定される用益物権としては、区分地上権と地役権があるが、以下のとおり、それぞれ一定の制約があり、無人航空機の飛行に関してこれらの権利を設定することはできない。
・第269条の2(区分地上権):工作物を所有するためのもの
・第280条(地役権):他人の土地を自己の土地の便益に供するためのもの
また、土地所有者が同人の利益が存しない土地上の空間を利用する契約を締結した場合であっても、そのことをもって当該契約の相手方が当該空間の排他的な利用権を取得したことにはならず、第三者が当該空間において無人航空機を飛行させることを妨げることはできないと解される。
○地元の理解と協力の重要性
無人航空機の飛行に関する法制度の面からの整理は、上記の基本的考え方及び補足事項 1~3の通りであるが、今後無人航空機が様々な用途で用いられ、その飛行エリアや頻度が増加することが予想される中、土地所有者をはじめとする地域の理解と協力を得ることは極めて重要である。このため、無人航空機の運航者には、適切な機体の使用、安全なルートの設定、万が一事故が発生した場合の賠償資力の確保など対策を講じた上で、地域の関係者に丁寧に説明し、理解と協力を得る取組が求められる。また、民間企業や自治体等が、第三者的な立場から、無人航空機の運航者と地域の間に立って、これらの取組を行うことは、一定の意義がある。

こちらの内容を簡単に要約すると以下のようになります。
①民法で定めらている土地の所有権の及ぶ範囲は、「利益の存する範囲」であるが、この範囲は一律に設定できないので個々の判断が必要。

②「利益の存しない範囲」でドローンを飛ばす分は、土地の所有権の同意は不要と解釈できる
③「利益の存する範囲」が一律に説定できないということから、一律〇m以下の飛行させる場合は土地の所有者の許可が必要という基準も設定できない
④「最低安全飛行高度(300m等)」は、「利益の存する範囲」ではない。
⑤土地の上空に用益物権を設定して、貸し借りしたり、通行料を設定することはできない。

⑥賠償保険への加入を推奨。
⑦ドローンを飛ばす際は、土地の所有者や関係やに説明して、理解を得ること。

「要は、所有権がなくなるわけではないが、ある程度の高さで飛行する場合は、許可は不要。ただ、もめごとにならないように所有者に説明しといてね」ということで合ってますか?

そうですね。勝手に他人の土地に入っても民事の問題なので国は関与しないが、「本人同士でも揉め事にならないようにちゃんとしてね」ということです。
以上から今回のタイトルの答えとしては、「高度によっては所有者の許可は必ずしも必要ではないが、その高度は一律ではないので、やはり所有者に説明はした方が良い」ということになります。なにか釈然としませんね。

②機体登録の有効期限は3年です(注意)

2022年6月20日より機体の登録制度が始まり、今年で3年目が経ちます。ということは、2021年12月20日から2022年6月19日までの事前登録期間と、2022年末までに登録を行った機体は今年が登録更新期限となります。更新の際は以下の点にご注意ください。

更新時の注意点

①現在の登録の有効期限から1ヶ月前以降に登録の更新を行った場合は、当該満了日の翌日から3年後が新たな登録の有効期限となります。なお、現在の登録の有効期限から1ヶ月前以前に登録の更新をいただくことは可能ですが、その場合は更新した日から3年後が新たな登録の有効期限となります。

②有効期限が切れた場合、登録は抹消されるため、新たに登録をし直していただく必要があります。この場合、登録記号が変更されることになります。
事前登録機でリモートIDが免除されている機体の有効期限が切れてしまった場合は、免除規定の適用がなくなるため、新たにリモートIDの取り付けが必要となります。

③登録更新の際にも本人確認書類が必要です。
法人の場合・・・gビズIDプライム
個人の場合・・・マイナンバーカード

期限内に登録を更新しないと、リモートIDの免除がなくなりますので、特にリモートID日搭載の機体にいついては、必ず期限内に更新してくださいね!

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