
今月は、地域限定のニュースになりますが、熊本空港の高さ回答システムの仕様が変更され、大変便利な機能が追加されましたので、それにつきましてお伝えいたします。他の空港にも同様のシステムはありますが、これからお伝えする追加機能につきましては、まだ一部の空港のシステムにしか反映されていないようです。しかし、これから徐々に導入されていくと思いますので、他の地域の方もぜひチェックしてみてください。
①高さ回答システム(熊本空港)最新版の利用方法
〇飛行禁止空域

ご存じのように、ドローンは航空法やその他の法令で飛行が禁止されている空域を飛ばすことができません。その中でも航空法で禁止されているエリアは以下の4つです。


これらの飛行禁止空域のうち、「高さ回答システム」で確認が必要になるのは、『①空港周辺』の空域です。

確か空港によってこの空域の広さが違うって聞きましたけど?

よくご存じですね。確かに空港によってその広さは違いますが、その辺のご説明は、『2023年8月号のVol27』でお伝えしたとおりですので、詳しくは下のリンク記事をご参照ください。
〇高さ回答システムとは?

<関西国際空港高さ回答システムの画面>

『高さ回答システム』は、空港周辺での建物や物件の高さ制限を確認するためのシステムです。各空港には航空機の安全な離着陸を確保するための高さ制限があり、このシステムを使うことで、ユーザーは計画中の建物やドローンの飛行が制限高を超えるかどうかを事前に確認することができるため、ドローン利用者や建設業者にとって大変便利なツールです。
ちなみに、この『高さ回答システム』が導入されている空港は以下の通りです。
【高さ回答システムが導入されている空港(※2024年10月現在)】
東京国際空港(羽田空港) |
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成田国際空港 |
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大阪空港(伊丹空港) |
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関西国際空港 |
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中部国際空港(セントレア) |
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福岡空港 |
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仙台空港 |
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新千歳空港 |
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函館空港 |
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新潟空港 |
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熊本空港 |
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長崎空港 |
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那覇空港 |
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松山空港 |
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宮崎空港 |
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八尾空港 |
※このリストに掲載が無い空港でも、システムが導入済みの場合もあります
〇高さ回答システム(熊本空港版)の変更ポイント

先日「熊本空港の高さ回答システム」の仕様に変更があり、大変便利な機能が追加されましたので、今回は、その変更箇所を中心にシステム全体の利用方法を説明いたします。
変更点①座標での検索機能が追加

今回の仕様変更で便利になったのは、飛行ポイントが座標で確認できるようになったことです。それでは実際にその機能を使って検索してみましょう。
飛行高度の検索方法
<Googleマップより>
①Googleマップにて飛行する場所の座標を検索しコピーします。
※コピーする座標は60進数です。
②熊本空港高さ回答システムを開き、検索バーに①でコピーした座標を貼り付け、『詳細地図表示』のボタンを押します。
③赤いマークが表示されたら、その場所を拡大してクリックします。
※なるべく拡大してクリックした方が位置がズレません。
④滑走路の中心(標点)からの直線が表示され、『照会結果』欄に、照会地の座標、制限表面の種類、制限高(標高)が表示されます。
⑤照会結果を保存する場合は、『印刷』ボタンを押し、プリントするかPDFなどで保存してください。
※「32°51’40.9″N 130°55’55.6″E」の表記では検索できないため、「32度51分40.90秒 130度55分55.60秒」に表記を変換する必要があります。


今回の事例の地点だと、標高約311mまで飛行が可能ですので、それから以下の式のように地盤の標高を差し引くと、ドローンの飛行可能高度が確認できます。
制限高(標高 約311m)-照会地の地盤の高さ(標高 約226.5m)=ドローン飛行可能高度(地盤から84.5m)
つまり地表から約84.5mまではドローンの飛行が可能ということですので、これを超える高度を飛行させる場合は、国土交通省熊本空港事務所や熊本国際空港(株)と調整のうえ、DIPSで関西空港事務所へ飛行許可申請をする必要があります。
変更点②「無人航空機の飛行申請に関するサポート」フォーム

高度の検索後に、飛行高度が制限高度を超える可能性があると分かった場合は、検索ページの下にある「無人航空機の飛行申請に関するサポート」フォームから、次に行う手続きの照会が可能となりました。
フォームからの照会
①「当該場所は空港の制限表面の範囲に該当しますか」の設問は、『該当する』にチェックして『次へ』を押します。
②「制限表面に該当する飛行」の設問には、飛行地点に該当する制限表面にチェックを入れ『次へ』を押します。
※今回は、事例の飛行地点が『円錐表面』に該当するので、そこにチェックしております。なお、飛行地点の制限表面の名称は『高さ回答システム』の照会結果欄を参照してください
③あらかじめ調べた飛行高度が、制限高度を超える場合は、「上回る計画である(飛行高度未設定や、地盤の高さがすでに制限高を超えている場合もこちらを選択)」を選択して『次へ』を押します。
④上記のように調整方法と送り先が表示されますので、高度検索のときに保存した照会結果とともに、メールにて各所と調整を行ってください。
②令和7年度の概算要求から予想する補助金

今回は少し趣向を変えて、経済産業省の概算要求から来年度の補助金を予想してみたいと思います。
予算成立までの流れ

そもそも補助金って、いつ、どのように、どうやって決まるんですか?

それでは、まず初めに補助金の決定プロセスについて説明しますね。
補助金も国の予算の一部ですので、以下のような流れで決まります。
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各省庁の要求(8月ごろ)
各省庁が自分たちの必要な予算を見積もり、要求を出します。 -
財務省の審査(9月から11月)
財務省が各省庁の要求を審査し、調整を行います。 -
内閣の決定(12月下旬)
財務省の調整を経て、内閣が予算案を決定します。 -
国会での審議(1月から2月)
内閣が決定した予算案を国会に提出し、国会で審議されます。 -
予算の成立(2月から3月)
国会で予算案が可決されると、予算が成立し、各省庁に配分されます。
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経済産業省の令和7年度概算要求書と中小企業向け補助金の予想

そうですね、ちなみに「概算要求書」とは、国の予算編成において、各省庁が翌年度に必要とする予算を財務省に提出するための書類です。
各省庁は、取り組みたい事業や必要な費用の見積もりを盛り込んだ要求書を毎年8月末までに財務省に提出します。したがって、次年度に公募がある補助金は、補正予算の分を除き、必ずこの概算要求書に書かれていることになります。ちなみに経済産業省の来年度の概算要求書はこちらです⇒令和7年度 経済産業省関係 概算要求等概要


【概要】
中小企業対策費として1300億円が計上され、これは前年度から218億円の増額です。この予算は、物価高や人手不足といった課題に直面する中小企業を支援するために設けられています。
【主要施策と予算配分】
・物価高・人手不足への対応
価格交渉促進事業や資金繰り支援が強化され、日本政策金融公庫からの融資に対する利子補給が行われます。
・省力化投資の推進
中堅・中小企業向けに省力化投資を促進するための補助金が設けられています。
・地域経済の活性化
小規模事業者への巡回指導や相談窓口の強化が行われ、地域密着型の支援が提供されます。
・事業承継と再編支援
事業承継や再編を通じた企業の変革を促進するための支援が行われます。
・研究開発支援
成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)により、大学との連携によるイノベーション創出が目指されます。

【まとめ】
令和7年度の概算要求書では、中小企業・小規模事業者向けの要求額が増額されています。具体的には、中小企業対策費として1300億円が計上されており、これは令和6年度の当初予算から218億円の増額となっています。
ただ、ものづくり補助金、IT補助金、小規模事業者持続化補助金など、ドローンやその周辺のソリューションに使えそうな補助金につきましては、こちらの概算要求書には計上されておりませんでした。おそらく補正予算で組まれると思いますが、これらの補助金は、中小企業や小規模事業者が革新的なサービス開発や生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援するものですあり、非常に使い勝手いが良いため、公募時期も含めて注視しておきたいですね。
なお、事業再構築補助金につきましては、発足当初とは形を変え、既に第12回公募まで終えておりますが、あと数回で終了するといわれておりますので、ご利用を考えている方は、早めの着手をお勧めいたします。補助金の情報は随時お伝えいたしますので、引き続きよろしくお願いいたします。