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ドローンお役立ち情報Vol39『その飛行ってホントに申請しなくて大丈夫?』・・・ほか

ドローン関連

最近会社でドローンを買ったんで空撮をしようとおもうけど、人家も少ない山間部で飛ばす場合は、許可とか取らなくてもいいんだよね?

確かに周囲に何もない場所では許可や承認が不要な場合もありますが、実際には許可や承認なしでの飛行はほとんど不可能と思ってください。この点について誤解している方が多いので、今回は具体例を交えてわかりやすく解説します。

①その飛行はホントに大丈夫・・・?(空撮編)

それでは、実際にどのような場所でどのような飛行を行いたいのか具体的に教えてください。

来週の金曜日に、会社のパンフレットの表紙に使う写真を撮影するために、山と川が綺麗な場所を撮影しに行く予定なんだよね。飛行計画はこれなんだけど・・・

【飛行計画事例①】
飛行場所:熊本県下益城郡美里町の緑川に架かる大福橋周辺の半径約800m
人員:操縦者ほか補助者1名
飛行日時:2024年9月27日 午前10時から12時
飛行許可・承認:買ったばかりの機体なので申請していない
飛行エリアMAP:

<地理院地図より>

この飛行計画を確認しましたが、そのまま進めると航空法違反となる可能性が非常に高いです。それでは、どの点が問題になるのかをご説明します。

飛行計画①チェックポイント

まず、いきなり空撮に行くのではなく、撮影場所を詳しく知ることが重要です。ただし、事前に現地に行けない場合もあると思いますので、フライト当日は早めに現地に入り、飛行エリアを確認することをお勧めします。また、事前に情報を収集するためにGoogleearthなどで周辺の状況を事前に確認しておく方が良いでしょう。では、今回のフライトエリアが実際にどうなっているか確認しましょう。


<Googleearthより>

平面図で見ると、確かに川と山だけの場所のように見えますが、Googleearthで確認すると、飛行エリアには、橋梁、集落や太陽光発電所があるのが分かります。では、この場合に必要な飛行許可や承認について個別に見ていきましょう。

<飛行場所について>
〇制限表面上空の飛行許可・・・熊本空港の制限表面ではないため不要です。
〇地表より150m以上上空の飛行許可・・・飛行エリア内は高低差が大きいですが、機体から地表までの距離が150m未満で飛行すれば、問題ないので、この許可も不要です。
〇人口集中地区(DID)の飛行許可・・・DIDのエリア外なので不要です。

従って、飛行許可は不要ということになります。それでは、飛行の方法についてはいかがでしょうか?

<飛行方法について>
〇夜間飛行の承認・・・飛行時間が日の出の時刻以後なので不要です。
〇目視外飛行の承認・・・必要です。
〇第三者の人又は物件から30m未満の飛行の承認・・・場合によっては必要です。

目視外飛行と補助者の役割

基本的にドローンは自分で見ながら飛行するし、見えない場所には補助者も置くので、目視外飛行にはならないんじゃないの?

まずは、この「目視内飛行と目視外飛行」の定義を正確に把握する必要があります。では、具体的にこれらの定義をご説明します。

<目視内飛行とは>
目視内飛行とは、操縦者が直接肉眼で無人航空機を視認しながら飛行させることを指します。具体的には、操縦者が無人航空機の位置や姿勢を把握し、その周囲に人や障害物がないかどうかを常時監視しながら飛行させることです。

<目視外飛行とは>
目視外飛行とは、操縦者が直接肉眼では無人航空機を視認できない状態での飛行を指します。これは、単に無人航空機が障害物の死角に入って操縦者から見えなくなる状態だけを指すのではなく、操縦者がカメラの映像を手元のモニター見ながら飛行させる方法も含まれます。

以上のことから、今回の飛行計画は「目視外飛行」にあたります。従って、飛行承認が必要となりますので、速やかに国土交通大臣へ承認申請をおこなってください。また、目視外飛行の承認を取得した場合でも、以下の2点には注意する必要があります。

【目視外飛行を行う上での注意点】
・操縦者が飛行中の機体の状況を確認できない場合は、補助者が機体を常時監視し、操縦者が安全に飛行できるように必要な助言を行うこと。

・立入管理区画を設定し、補助者は、飛行経路の直下及びその周辺を常に監視し、第三者が近付いた場合には注意喚起を行い、衝突を回避すること。
・電波断絶等の不具合発生時には、自動帰還機能などのフェールセーフ機能が正常に作動すること。 

一定の場合を除き、補助者を配置しない飛行は認められませんのでご注意ください。

人や物件(第三者)から30m以内の飛行

飛行する場所は、山間部だし、集落や道路はあるけど、人が通ってなければ飛ばしても問題ないんじゃないの?

これも割と勘違いしやすいところではありますが、ここでの「第三者」には人だけではなく、「第三者が管理・所有する物件」も含まれます。では、もう少しこの「第三者」を詳しくご説明しますね。

【第三者にあたる(人)とは】

・操縦者や補助者以外の人を指します。
・撮影スタッフやイベントのエキストラなど、飛行に関与する人は含まれません。

【第三者にあたる(物件)とは】
・第三者が所有・管理する構造物や中に人がいることが想定される車や鉄道車両などを指します。構造物には、住宅、オフィスビル、商業施設、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、電線、街灯などがこれにあたります。

【無人航空機から30mの範囲】

Googleearthで飛行エリアを確認すると、橋梁、集落、太陽光パネル、電線や鉄塔もあるようです。高高度を飛行する場合は問題ありませんが、離着陸時に第三者の物件から30m以内を飛行させる可能性も高いですので、やはりこの承認も必要ですね。

②その飛行はホントに大丈夫・・・?(農薬散布編)

オークションサイトで中古の農薬散布ドローンを買ったから、散布の練習をしたいんだけど、自分の田んぼの上で水を散布するのであれば、飛行許可や承認は必要ないのよね?

2つ大きな勘違をしているようなので、詳しくご説明しますね。

飛行計画②チェックポイント

そうなの?集落から遠く離れた場所なんだけど・・

【飛行計画事例②】
飛行場所:熊本県阿蘇市一の宮町三野の半径400mの範囲
人員:操縦者ほか補助者1名
飛行日時:2024年9月30日 午前7時から10時
飛行許可・承認:散布練習飛行につき申請していない
飛行エリアMAP:

確かに人口集中地区ではなく、練習飛行なので目視外飛行にも当たらないようですが、まずは周辺状況を確認し、どのような飛行許可・承認が必要かを確認してみましょう。

 
<Googleearthより>

まずはじめに、こちらの場所も飛行計画①と同様に、いずれの飛行許可も不要です。
ただ、飛行エリア内の周辺状況ですが、こちらは田園風景が広がっておりますが、田畑であっても電柱や電線があると思われます。また、道路や橋があることから、車両が通行することも考えられます。これらのことから、一つは第三者から30m以内の承認申請は
必要と思われます。

<飛行方法について>
〇夜間飛行の承認・・・時間帯が日出の時刻以降なので不要です。
〇目視外飛行の承認・・・散布の練習であれば、視界の範囲を目視で飛ばすため、承認は不要です。
〇第三者(物件)から30m未満の飛行の承認・・・場合によっては必要です。
〇危険物輸送の承認・・・タンクには水を入れて飛行するため、承認は不要です。
〇物件投下・・・液剤の噴霧行為であっても物件の投下に該当するため、承認は必要です。

それでは、物件投下の承認を取るための練習をするのに、その承認を取らなければいけないってこと?なんか矛盾してないかな・・・

国土交通大臣に物件投下の承認申請をするには、5回以上の投下訓練が必要です。ただし、訓練自体にも承認が必要です。承認が不要な方法としては、体育館などの屋内で練習する方法がありますが、屋外で練習をする場合は、場所と期間を指定した承認の取得が可能なので、必ずこの承認を取得してから練習をおこなってください。

※仮に四方をネット等で囲われたグラウンドなどで練習をする場合でも、天井が抜けていれば、そこは屋外となりますので、航空法が適用されます。

このように、一見、許可や承認が不要な飛行に思えても、やはり必要であったというケースが多々ありますので、自身で勝手に判断するのではなく、航空局や弊所にご相談をお願いします

ドローンで農薬散布の練習中、操縦者にぶつかり骨折…運輸安全委が調査報告書を初公表 2024/8/29(大分県九重町)


<読売新聞オンライン 8/29(木)記事より>

記事より一部抜粋
大分県九重町で昨年7月、無人航空機(ドローン)が操縦者にぶつかる事故があり、運輸安全委員会は29日午前、調査報告書を公表した。ドローンによる死傷事故が2022年12月から調査の対象に加わった後、報告書の公表は初めて。・・・続きはこちら

こちらは、昨年の8月のニュースレターで取り上げた事故ですが、今回はその調査報告書が公表されたという記事です。詳細は以下の通りです。

バックナンバーはこちら↓
②ドローン事故で全国初の航空事故調査実施(令和5年7月26日 大分県)

告書番号 AA2024-6-2
発生年月日 2023年07月14日
発生場所 大分県玖珠郡九重町
航空機種類 無人航空機
事故等種別の分類
(Occurrence Category)
LOW ALTITUDE OPERATIONS
飛行の段階
(Phase of Flight)
MANEUVERING
POST-IMPACT
人の死傷 負傷
航空機区分 無人航空機
型式 株式会社SamiSamiラボ製SAMISAMI AG V2(無人航空機、マルチローター)
登録記号 JU32367E6C22
運航者 個人
事故等種類 無人航空機による人の負傷(重傷)
報告書(PDF) 公表(報告書はこちらは)
公表年月日 2024年08月29日
概要  個人所属SamiSamiラボ製SAMISAMI AG V2、JU32367E6C22は、令和5年7月14日(金)、農薬散布の練習のため大分県玖珠郡九重町で飛行中、道路標識用の支柱に衝突して墜落した。その際、操縦者が、同機の回転中のプロペラに接触し、重傷を負った。
原因  本事故は、同機が農薬散布の練習のために飛行中、道路標識用の支柱に衝突し操縦者の方へ進行方向を変えて墜落する際、同機に近づいていた操縦者が回転中のプロペラに接触したため、操縦者が負傷したものと推定される。
 操縦者が同機に近づいていたことについては、操縦者が同機との安全な離隔距離を意識せずに同機を飛行させていたことによるものと考えられる。また、同機が支柱に衝突したことについては、操縦者が散布区域の境界や障害物からの安全な離隔距離を意識せずに同機を飛行させていたこと及び自動飛行を中断する際に操作を誤り、通常よりも停止するまでの距離が長くなったことによるものと考えられる。
死傷者数 操縦者1名 重傷

<運輸安全委員会報告書より>

無人航空機(ドローン)の重大インシデントや事故が発生した場合、以下のような調査が行われます。

  1. 報告義務:

    • 事故や重大インシデントが発生した場合、無人航空機を飛行させた者は直ちに飛行を中止し、負傷者の救護を行い、国土交通大臣へ速やかに報告する必要があります。
    • 報告はドローン情報基盤システム(DIPS 2.0)を通じて行います。
  2. 初期調査:

    • 国土交通省や運輸安全委員会が現場に赴き、事故の状況を確認します。これには、現場の写真撮影、目撃者の証言収集、無人航空機の残骸の回収などが含まれます。
  3. 詳細調査:

    • 回収された無人航空機の解析、飛行ログの解析、通信記録の確認などが行われます。これにより、事故の原因を特定し、再発防止策を検討します。
  4. 報告書の作成:

    • 調査結果を基に報告書が作成され、関係者に共有されます。この報告書には、事故の原因、再発防止策、その他の重要な情報が含まれます。

      ※このように、事故や重大インシデントに認定されると、詳細な調査が長期にわたり行われるため、くれぐれも安全に最大限の注意して運航してください。

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