①『無人航空機に係る規制の運用における解釈について』改訂(2024/6/10)
6月10日に『無人航空機に係る規制の運用における解釈について』という国土交通省の告示※1が改訂されました。この告示は、平成27年11月17日に無人航空機の改正法の施行に先立って最初に制定されたものです。
その内容は、法律や命令(以下法令)では明文化しきれていないが、国土交通省と運用者などの間で共通の認識を持っておかなければならない法令の「考え方や読み取り方」を示したものであると考えてください。
確かに飛行許可を出す側と運用する側の双方の認識にズレがあると、後々トラブルになるかもね・・・重要なことが書かれているのは分かったけど、実際どんなことが書かれてるの?
・無人航空機に係る規制の運用における解釈について
これまで、このニュースレターでは、この「告示」を一度も取り上げてなかったため、今回改訂された箇所だけでなく、重要な項目を抜粋してお伝えいたします。
解釈その1. 無人航空機から除かれるものとは?
<解釈>
「重量」とは、無人航空機本体及びバッテリーの重量の合計を指しております。だだし、バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含みません。つまり、脱着可能ではないカメラ等は重量に含むことになります。
解釈その2.アルコール・薬物とは?
<解釈>
アルコールは、微量であっても無人航空機の正常な飛行に影響を及ぼす可能性があるため、「体内に保有するアルコール濃度の程度に関わらず体内にアルコールを保有している状態では無人航空機の飛行を行わないこと」とされております。また、ここでいう「薬物」とは、「麻薬や覚醒剤などの規制薬物だけでなく、医薬品も含まれます」とのことです。
解釈その3.昼間の飛行とは?
航空法第 132 条の 86 第2項第1号では、無人航空機は、「日出から日没までの間において飛行させること」とありますが、この日出から日没までの時間が明確に記載されているわけではありませんので、定義付けが必要となります。
<解釈>
この「日出から日没」については、「国立天文台が発表する日の出の時刻から日の入りの時刻までの間をいうものとする」とあります。
したがって、国内で日の出が一番早いとされる色丹島の夏至の日出時刻は3時30分であり、逆に冬至の日の入り時刻が15時38分になります。また、日本の有人島最西端である与那国島の夏至の日の入り時刻は19時40分であり、冬至の日出時刻は18時05分です。このように、時期と場所によって、かなり時間が異なりますので注意が必要ですね。
解釈その4.目視の範囲内での飛行とは?
航空法第132条の86第2項第2号により、目視による常時監視を行いながらの飛行に限定することと
されておりますが、この「目視」とはどういう意味でしょうか?
<解釈>
「目視」とは、操縦者本人が自分の目で直接見ることをいうものとします。このため、補助者による目視は該当せず、また、飛行状況をもっぱらモニターを用いて見ること(FPV)、また双眼鏡やカメラなどを用いて見ることは、視野が限定されるため「目視」には該当しないとされております。なお、安全な飛行を行うためにバッテリー残量を確認する目的などで無人航空機から一時的に目を離し、モニターを確認するなどの行為は目視飛行の範囲内となります。従いまして、手元のモニターを確認しながらの空撮行為は、目視に該当しない(目視外飛行)ということになりますので注意が必要です。
解釈その5.多数の者の集合する催し場所上空とは?
多数の人が集まる催しが行われている場所の上空での飛行は、いわゆる「催し場所上空の飛行」となり、航空法第132条の86第2項第4号で禁止されておりますが、この『多数の人が集まる催し』とはどういったものでしょうか?
<解釈>
『多数の人が集まる催し』とは、「集合する者の人数や密度だけでなく、特定の場所や日時に開催されるものかどうか、また、主催者の意図等も勘案して総合的に判断される」とされております。
催し場所に当たる具体例:
祭礼、縁日、展示会のほか、プロスポーツの試合、スポーツ大会、運動会、屋外で開催されるコンサート等のイベント、ドローンショー(自社敷地内、無人の競技場内等、第三者の立入管理措置が行われていることが明白である場所での事前練習や企業向けの配信用撮影等を除く)、花火大会、盆踊り大会、マラソン、街頭パレード、選挙等における屋外演説会、デモ(示威行為) 等としてあります。催しの関与者のみが参加する催し場所上空の飛行、自然発生的なもの(例えば、混雑による人混み、信号待ち) 等は、催し場所から除外されます。
解釈その6.危険物の輸送の禁止
航空法第132条の86第2項第5号により、無人航空機での危険物の輸送は禁止されており、その無人航空機による輸送を禁止する危険物の詳細については、航空法施行規則第236条の80及び「無人航空機による輸送を禁止する物件等を定める告示」において定められております。なお、「当該飛行に必要不可欠であり、飛行中、常に機体と一体となって輸送される等の物件は輸送が禁止される物件に含まれない」とされております。
<解釈>
この、除外される危険物の具体的には次には、無人航空機の飛行のために必要な燃料や電池、業務用機器(カメラ等)に用いられる電池又は安全装備としてのパラシュートを開傘するために必要な火薬類や高圧ガス等が該当します。
解釈その7.物件投下の禁止
航空法第132条の86第2項第6号により、無人航空機からの物件投下は禁止されておりますが、物件投下を禁止することとしたものである。
<解釈>
ここで、水や農薬等の液体を散布する行為は物件投下に該当し、対象物件を地表等に落下させることなく地上の人員に受け渡す行為や輸送した物件を地表に置く行為は物件投下には該当しないとされております。したがって、農薬等の液剤を散布する行為もこの物件投下に当たる行為と解されます。
解釈その8.第三者とは?
航空法 132 条の 87 などで規定する「第三者」とは?
<解釈>
第三者とは、無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与していない者を指します。具体的には以下の通りです。
①無人航空機の飛行に直接的に関与している者(操縦者、現に操縦はしていないが操縦する可能性のある者、補助者等無人航空機の飛行の安全確保に必要な要員)
②無人航空機の飛行に間接的に関与している者(飛行目的について操縦者と共通の認識を持つ者
a)操縦者が、間接関与者について無人航空機の飛行の目的の全部又は一部に関与していると判断している。
b)間接関与者が、操縦者から、無人航空機が計画外の挙動を示した場合に従うべき明確な指示と安全上の注意を受けている。なお、間接関与者は当該指示と安全上の注意に従うことが期待され、操縦者は、指示と安全上の注意が適切に理解されていることを確認する必要がある。
c)間接関与者が、無人航空機の飛行目的の全部又は一部に関与するかどうかを自ら決定することができる。
例:映画の空撮における俳優やスタッフ、学校などでの人文字の空撮における生徒等
したがって、学校で人文字を空撮する場合、撮影に関与しない観覧者等は第三者となりますが、教員や生徒は、第三者とはなりません、もし催し場所上空の承認を受けないで撮影したい場合には、観覧者を排除する必要があります。
解釈その9.第三者上空とは?
<解釈>
「第三者上空」とは、「第三者」の上空をいい、この第三者が乗り込んでいる移動中の車両等の上空を含
むみます。この場合の「上空」とは、「第三者」の直上だけでなく、無人航空機が落下する可能性のある一定の範囲に第三者が存在する場合は、第三者の上空にあたるものとみなします。
ただし、無人航空機の飛行が終了するまでの間に、第三者が以下の状況にある場合は、第三者上空にあるとはみなしません。
①「第三者」が建物の中や停止している車両の中にいる場合等。
②「第三者」が、移動中の車両等の中にある場合であっても、レベル3.5飛行許可承認を受けて、一時的に当該移動中の車両等の上空を飛行するとき。
②承認なし」イベント会場上空でドローンを飛行させ書類送検/静岡市(2024/5/29)
記事より一部抜粋
4月の静岡まつりで、許可なくドローンを飛ばしたとして、静岡市に住む男性2人が書類送検されました。 航空法違反の疑いで静岡地検に書類を送られたのは、静岡市葵区に住む左官の23歳と34歳の男性2人です。 2人は4月7日、静岡市の駿府城公園で開かれた「静岡まつり」で大人数が集まり、飛行が禁止されている場所にもかかわらず、許可なくドローンを飛行させた疑いが持たれています・・・続きはこちら
駿府城公園は静岡市では有数の花見スポットらしく、4月上旬には、この桜の開花に合わせて「静岡まつり」というイベントが開かれるそうです。この事件はその期間中に起きたようですね。
そもそも、このような公営の公園でのドローンの飛行は、自治体の条例などで禁止されているケースが多いので、あらかじめ確認することが必要ですね。
上記MAPの通り、駿府城公園は、敷地全体が人口集中地区に該当しますので、ドローンを飛行させるには、人口集中地区の飛行許可が必要です。また、事件当日はイベント期間中でしたので、飛行させる場所によっては、催し場所上空の飛行承認が必要になります。