①農薬散布ドローンは資格が無くても飛ばせるの?(後編)
②被災地救うドローン、物資輸送や家屋内調査も/能登半島地震(産経新聞 3/30)
③目視外で飛べる新型ドローン発売 量産機製造は国内初、物流活用へ/南相馬市(福島民友新聞 4/6)
①農薬散布ドローンは資格が無くても飛ばせるの?(後編)
前回に引き続き、農薬散布ドローンを購入してから飛行させるまでの法令上の手続きについて解説します。今回はSTEP5から7です。
・農薬散布ドローンを飛ばすまでの手順
STEP5 飛行計画通報
飛行計画通報につきましてはこれまで再三取り上げてまいりましたが、こちらも2022年12月に義務化された制度です。こちらは特定飛行を行う場合は必ず行わなければならない手続きです。
もし、この飛行計画通報を行わずにドローンで農薬散布を行った場合は、30万円以下の罰金に処せられますので忘れないようにしてください。
・調整機能が追加されました
飛行計画を立てようとしたら、私の散布するエリアを、既に誰かの飛行計画が設定されているけど、どうしたらいいの?
計画通報の図を見てみると、確かに飛行エリアが二重三重に重複しているのがわかりますね。このような現象は、農薬散布の繁忙期に良く見られます。こういった場合は、調整が必要になります。
DIPS上で飛行計画を飛行エリアと時間が重複した場合、上図の様に「他の通報者に飛行計画と重複しています・・・」というコメントが表示されます。
そのまま「OK」を押すと飛行計画は完了しますが、飛行計画一覧に『吹き出し』が表示されます。
その『吹き出し』を押すと、飛行計画と重複している飛行計画の一覧および地図情報が表示されます。
調整を実施したい飛行計画に対して、識別名称のリンクを押します。
「希望する調整方法を選択してください」が表示されたら、調整方法を選択します。調整方法は、メッセージとメールのどちら一方を選択することができます。
ちなみに、「メッセージ機能で調整を行いたい」を選択すると、4つの例文の選択肢しが表示されますので、適当なもを選んで『次へ』を押します。あとは選択したメッセージを送信して先方と調整を行います。
機能の詳細はこちらの資料をご参照ください↓
〇ドローン情報基盤システム 操作マニュアル<飛行計画通報>
〇07.飛行計画重複時の調整方法通報者(個人・法人)向け操作マニュアル
もちろん各々が飛行するエリアだけを囲えば、このような面倒な作業は必要ないので、出来るだけ飛ばす範囲のみを囲うようにしてくださいね。
STEP6 散布の実施
・日常点検記録
飛行計画通報が終わればいよいよドローンを飛ばして散布できるのね?飛行する時に何か気を付けることはある?
散布の際に法令面で注意することは、飛行前点検を行い、日常点検記録に記録する必要があります。
<日常点検記録様式の雛形>
必ずしも紙で持ち歩く必要はありませんが、毎回飛行前後に記録する必要があります。
飛行の際に備えていない場合は、10万円以下の罰金に処せられますのでご注意ください。
・飛行マニュアルの確認
飛行マニュアルとは、操縦者が飛行許可・承認を得て飛行させる際に、無人航空機を安全に運航させるための「ガイドライン」をまとめた物であり、本来は自身で作成して、飛行許可・承認申請書と一緒に航空局へ提出しなければなりません。
そうはいってもなかなか自身で作成するのは難しいため、殆どの方が、予め航空局が準備している「国土交通省航空局標準マニュアル」を使用しているのではないかと思います。
ただ、実際にはこのマニュアルの存在をまったく知らないで飛行させている方も少なくないように見受けられますので、要点だけご説明します。
<マニュアルの概要>
1.無人航空機の点検・整備
1-1 機体の点検・整備の方法
1-2 点検・整備記録の作成
2.無人航空機を飛行させる者の訓練及び遵守事項
2-1 基本的な操縦技量の習得
2-2 業務を実施するために必要な操縦技量の習得
2-3 操縦技量の維持
2-4 夜間における操縦練習
2-5 目視外飛行における操縦練習
2-6 物件投下のための操縦練習
2-7 飛行記録の作成
2-8 無人航空機を飛行させる者が遵守しなければならない事項
3.安全を確保するために必要な体制
3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制
3-2 人又は家屋の密集している地域の上空における飛行又は地上又は水上の人又は物件との間
に 30mの距離を保てない飛行を行う際の体制
3-3 夜間飛行を行う際の体制
3-4 目視外飛行を行う際の体制
3-5 危険物の輸送を行う際又は物件投下を行う際の体制
3-6 非常時の連絡体制
特に「3.安全を確保するために必要な体制」には、散布飛行をする際に守らなくてはならない重要な「約束事」が書かれておりますので、必ず把握しておく必要があります。
「物件投下の場合、操縦者は、物件投下の訓練を修了した者に限る」って書いてあるけど、そもそも物件投下の承認を申請するには、先に訓練をする必要があるってこと?だって承認が無いのにどうやって訓練すればいいの・・・?
その場合は、訓練のための物件投下の承認を取得するか、屋内で5回以上の物件投下訓練を行った後に包括の承認申請をしなければなりません。ですから機体を購入する際は、きちんと法令に適合した投下訓練を行っているメーカー及び販売店から購入することをおススメします。
STEP7 飛行日誌の作成
飛行日誌のうち、日常点検記録につきましてはSTEP6で記載しておりますので、このSTEP7では飛行記録について記載します。
飛行記録は、「1飛行毎」に記載する必要があります。この「1飛行毎」とは、無人航空機の電源を作動させた後に出発地から離陸させ、目的地に着陸後、電源を停止させたときまでを言います。記録する内容は次の通りです。
<無人航空機の飛行日誌の取扱要領より>
<飛行記録の記載事項>
ア)無人航空機の登録記号(試験飛行機等で登録記号を受けていない場合は当該試験飛行に係る届出番号。以下同じ。)、種類及び型式(型式認証を受けた型式の無人航空機に限る)
イ)無人航空機の型式認証書番号(型式認証を受けた型式の無人航空機に限る)
ウ)機体認証の区分及び機体認証書番号(機体認証を受けた無人航空機に限る)
エ)無人航空機の設計製造者及び製造番号
オ)無人航空機の飛行に関する次の記録
・飛行年月日
・操縦者の氏名及び無人航空機操縦者技能証明書番号(無人航空機操縦者技能証明書の交付を受けている場合に限る)
・飛行の目的及び経路
・飛行させた飛行禁止空域及び飛行の方法
・離陸場所及び離陸時刻
・着陸場所及び着陸時刻
・飛行時間
・製造後の総飛行時間
・飛行の安全に影響のあった事項の有無及びその内容
カ)不具合及びその対応に関する次の記録
・不具合の発生年月日及びその内容
・対応を行った年月日及びその内容並びに確認を行った者の氏名
尚、バッテリーを交換した場合でも同一の場所のエリアを散布させる場合は、1行にまとめて記載することができます。
以上、STEP1から7のすべての手順を行って、ようやく散布飛行は終了となります。尚、飛行後も点検を行う必要がありますのでご注意ください。
この一連の手続きにつきましては、一つでも抜けた場合は航空法に抵触する恐れがありますので必ず行ってください!
②被災地救うドローン、物資輸送や家屋内調査も/能登半島地震(産経新聞 3/30)
こちらは、先の能登半島地震の復旧・復興活動において、調査や医療品の輸送等にドローンが活用されたこと、特に医療品の輸送に関しては、現地でも非常に感謝されたことなどが書かれております。ただ、これは以前からも言われていたことですが、災害・救助の特例についても、「どこまでが捜索・救助の活用になるのか、線引きが分からない」など、現行法令が緊急時の現場の状況と乖離している様子が浮き彫りになっているのが分かりますね。
<目視外で飛べる新型ドローン発売 量産機製造は国内初、物流活用へ:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet (minyu-net.com)>
<以下、記事を一部抜粋>
ドローン製造のイームズロボティクス(南相馬市小高区)は5日、目視外での飛行などができる新型ドローン「E6150TC」を発売した。同社によると、目視外飛行や、目視内での夜間飛行が可能な量産機の製造は国内で初めてという。同社は物流を中心とした活用を見据える・・・以下、こちらのサイトにてご確認ください。
目視外で飛べる新型ドローン発売 量産機製造は国内初、物流活用へ:福島民友ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet (minyu-net.com)
元日の能登半島地震では、ドローン(無人航空機)が、道路寸断で孤立した集落への医薬品輸送や建物内部の調査などに幅広く活用された。過去の地震では上空からの被害調査などにとどまっていたが、長時間飛行などの技術進歩で用途が拡大した。地震からまもなく3カ月。被災地での役割は縮小しつつあるが、ドローン業界は「新技術で活用はもっと広がる」と災害時のさらなる貢献も見据えている・・・以下、こちらのサイトにてご確認ください。
被災地救うドローン、物資輸送や家屋内調査も 能登半島地震 – 産経ニュース (sankei.com)