①飛行マニュアルに注意しよう
飛行マニュアルとは?
※上の資料は、国土交通大臣が発効する包括許可承認書の一例です。
よく見ると、赤のアンダーラインの部分に、「飛行マニュアル」という記述があります。
この「飛行マニュアル」というものは、ドローンの許可承認を申請をする際に、必ず添付しなければならないことになっており、また、飛行の際には、マニュアルの内容を遵守することが条件になっております。ということは、内容を熟知しておかなければならないという事です。
本来はこの「飛行マニュアル」については、無人航空機を飛行させる者が安全の確保に必要な事項を盛り込み、その内容や形式は、飛行の実態に即して自身で作成し、これを遵守する必要があるとされておりますが、一般的には、航空局が予め用意している「標準マニュアル」が利用されており、そのため、マニュアルを全く読んでいないにもかかわらず申請している方も多いようです。そこで今回は、この飛行マニュアルで注意すべき事をいくつか取り上げてご説明したいと思います。
飛行マニュアルの種類と用途
航空局が予め用意している「飛行マニュアル」は、飛行の方法や形態に応じていくつか種類があります。
・航空局標準マニュアル02 飛行場所を特定しない申請のうち、人口集中地区上空の飛行、夜間飛行、目視外飛行、人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行、危険物輸送又は物件投下を行う飛行のみで利用可能な航空局標準マニュアル
・航空局標準マニュアル(空中散布) 農用地等における無人航空機による空中からの農薬、肥料、種子又は融雪剤等の散布(空中散布)を目的とした航空局標準マニュアル
・航空局標準マニュアル(研究開発) 無人航空機の機体及び操縦装置の研究開発のための試験飛行を目的とした航空局標準マニュアル
・航空局標準マニュアル01(インフラ点検)
・航空局標準マニュアル02(インフラ点検)
無人航空機によるインフラ・プラント点検飛行を目的とした航空局標準マニュアル
※01と02の違いは、場所を特定した飛行か否か。
航空局標準マニュアル2で注意すべき事
それでは、『航空局標準飛行マニュアル2』では、どのようなことに注意して飛行するように記載があるのでしょうか?
注意しなければならないのは、当マニュアルの5ページに記載のある「3.安全を確保するために必要な体制 」です。その中でも特に、気をつけなければならない物をいくつか抜粋してみます。
〇必要な補助者の配置
3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制
(5)飛行させる際には、安全を確保するために必要な人数の補助者を配置し、相互に安全確認を行う体制をとる。なお、塀やフェンス等を設置することや、第三者の立入りを制限する旨の看板やコーン等を飛行範囲や周辺環境に応じて設置することにより立入管理区画を明示し、第三者の立入りを確実に制限することができる場合は、これを補助者の配置に代えることができる。
〇不特定多数 の人が集まる場所の上空やその付近を飛行させる場合
3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制
(9)第三者の往来が多い場所や学校、病院、神社仏閣、観光施設などの不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近を飛行させる場合は、第三者の立ち入り制限を行ったうえで飛行させるとともに、突風等の不測の事態を考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員 等を行う。
また、観光地など昼間に人手が多くなる場所では、早朝など人が少ない時間帯を選んで飛行させるといった安全への配慮が求められます。
〇人口集中地区での目視外飛行
3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制
(16)人又は家屋が密集している地域の上空では目視外飛行は行わない。 ただし、やむを得ず業務上飛行が必要な場合は必ず常時操縦者と連絡を取り合うことができる補助者による目視内での飛行を行い、飛行距離及び高度の限界値を設定して不必要な飛行を行わないようにし、第三者の立ち入り制限を行ったうえで飛行させるとともに、突風等の不測の事態を考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。
〇高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空の飛行
3-1 無人航空機を飛行させる際の基本的な体制
(10)高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近を飛行させる場合は、 事前に飛行ルートを確認し支障物件等が無いか確認するとともに、安全を確保するために必要な人数の補助者を配置し、相互に安全確認を行う体制をとり、飛行範囲に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う。また、車両が走行する車線もしくは鉄道、及び支障物件等に接近した場合は操縦者に適切な助言を行い、飛行を中止する等適切な安全措置をとる。
〇夜間の目視外飛行
以上のことから、場所や飛行方法によっては、原則出来ないものもありますので、許可承認を提出する前のタイミングで、必ずご一読いただきますようお願いいたします。
②事故報告を参考にしよう
以前のニュースレターでもお伝えしている通り、昨年の12月5日より、事故等の報告に罰則が設けられまして、報告をしない又は虚偽の報告を行った場合、航空法第157条の10第2項に従い、30万円以下の罰金が科せられることになっております。報告義務がある内容はこちらです。
・無人航空機による人の死傷(重傷以上の場合)
・第三者の所有する物件の損壊
・航空機との衝突又は接触
「重大インシデント」
・航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認められるもの
・無人航空機による人の負傷(軽傷の場合)
・無人航空機の制御が不能となった事態
・無人航空機が発火した事態(飛行中に発生したものに限る)
- 無人航空機に係る事故等報告一覧(令和4年12月5日以降に報告のあったもの)
こちらの情報につきましては、「自身が所有する機体の事故事例」を確認をするのに非常に有用です。例えば、PHANTOM4シリーズについては、「制御不能によるロストや墜落」が、この12月からの報告だけで3件も発生しております。また、全般的に農薬散布機体の事故については、屋根や電線等への「接触事故」が多いこともわかります。このような事例を確認しておくことで、自身の機体でも起こり得る事故やアクシデント等の情報を仕入れておくことは、事故を未然に防ぐことに繋がりますので、定期的に確認してみましょう。
③国立公園内におけるドローン飛行について
<環境省HPより>
国立公園につきましては、別途、特別の規制が設けられていなければ、航空法及び施行規則の規制が適用されますが、公園によっては、エリアを限定した規制が設けられている場合もありますので、個別に問合せる必要があります。
国立公園を直接管理しているのは、環境省地方環境事務所の出先機関となりますので、不明な点があれば、国立公園のエリアを管理する事務所に問い合わせてください。
尚、国有林につきましては、届出が必要となりますのでご注意ください。
〇関東地方環境事務所 日光国立公園 尾瀬国立公園
〇信州自然環境事務所 上信越高原国立公園、妙高戸隠連山国立公園、中部山岳国立公園
〇北海道地方環境事務所 阿寒国立公園
〇九州地方環境事務所 阿蘇くじゅう国立公園
また、国有林野内でドローンを飛行させる場合は、「入林届」に必要事項を記入の上、入林を予定される国有林を管轄している森林管理署等に提出する必要があります。
また、ドローンを飛行させる者が国有林野内に立ち入らずに無人航空機を国有林野内で飛行させる場合や、国有林野の借受者が国有林野内で無人航空機を飛行させる場合も、上記同様に「入林届」を提出しなければなりません。くれぐれもご注意ください。
- 別添 「様式2「入林届」(無人航空機を飛行させる場合の入林届)(WORD : 20KB)」「PDF版(PDF : 68KB)」
- 別紙 「入林に際しての遵守事項(PDF : 92KB)」
- 「入林届」の提出は、入林しようとする日の5業務日前までに入林届を提出してください。
- 入林届は、持ち込み、郵送及びFAX、メールにより提出可能です。入林届の連絡先には、電話番号に加え、FAX番号(FAXでの返送を希望される方)又はメールアドレス(メールでの返送を希望される方)の記入をお願いします。
- 入林届の提出先は、「各森林管理署等の連絡先、入林届等の提出先(PDF : 72KB)」をご確認ください。入林届の返送に際し、郵送による返送を希望される方は、返送用封筒及び切手(84円)を同封してください。
- 入林する国有林の位置は「国有林の図面」のページの施業計画図(2万分の1)をご確認ください
詳しくはこちらの林野庁サイトをご確認ください。
<阿蘇くじゅう国立公園内由布岳付近>
飛行マニュアルを作成するにあたって、根拠となる法令は以下の通りです。
三 当該無人航空機が飛行に支障がないことその他飛行に必要な準備が整つていることの確認に関する事項
四 無人航空機を飛行させる者及び補助者の役割分担その他無人航空機の飛行に係る安全管理体制に関する事項
五 無人航空機の事故等が発生した場合における連絡体制の整備その他必要な措置に関する事項
六 その他飛行の特性に応じた措置に関する事項