今年は梅雨明けが早かったせいもあり、7月から酷暑が続いておりますが、水分補給や屋外ではマスクを外すなどして、熱中症にならないように注意しましょう。
ということで、先月のドローンのネタですが、色々と動きがあっておりますので、Q&A形式で解説したいと思います。
令和4年7月26日に、令和3年第204回国会で成立した「航空法等の一部を改正する法律」の一部の規定の施行期日を令和4年12月5日(月)と定める政令が閣議決定されました。概要は以下の通り。
〇航空法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令の制定
登録講習機関の事前登録等の申請受付の開始日を令和4年9月5日、機体認証制度等の開始日を令和4年12月5日に定める。
〇航空法施行令の一部改正
登録検査機関、登録講習機関及び登録更新講習機関の登録の有効期間を3年、指定試験機関の指定の有効期間を5年とする。
※また、これらの政令の公布に併せて、機体認証や操縦者技能証明等に係る基準・手続等について定めた省令が公布されました。それでは、この制度改正により、なにが変わるのでしょうか?
今回は特に質問が多い、ライセンス制度を中心にQ&A形式で簡単に解説していきたいと思います。
①ライセンス制度とは?
ライセンス制度に関するQ&A
国土交通省資料:「レベル4の実現に向けた新たな制度整備等」より
①ライセンス制度はいつから始まるの?
②ライセンス制度がないとドローンが飛ばせないということなの?
①ライセンス制度は今年の12月5日から始まります。
②ライセンスは1等と2等ライセンスに分かれており、表の通り、現行の包括許可承認制度に代わるものは2等ライセンスにあたります。
従って、人口集中地区、空港周辺や150m以上で飛行を行う場合、または目視外、夜間、第三者(物件)から30m以内の飛行を行う場合はライセンスが必要ですが、それ以外の空域や方法・・・例えば、目視で建物も無く人もいないエリアを飛行する場合などは、ライセンスは不要です。
③今までの飛行許可承認制度が無くなるの?
④ライセンスがあれば、イベント上空や農薬散布もできるの?
③今のところ、現行の許可承認制度が無くなるとの発表はありませんので、ライセンスが無い場合でも、引き続き例年通り許可承認申請を更新すれば、2等ライセンスと同等の飛行は可能です。
④残念ながら、1等、2等どちらのライセンスを取得しても、イベント上空や農薬散布の飛行はできません。こちらは今まで通り個別に国土交通大臣の飛行承認を得る必要があります。
⑤ライセンス取得講習の申込はいつからできるの?
⑥2等ライセンスを取得したいけど、どのような講習をするの?
⑤今のところ、ライセンス講習を行うことが出来る講習団体はありません。講習団体の受付開始は9月5日以降となっておりますので、講習団体が登録を完了してからの受付となります。
⑥登録講習団体(以下スクール)でライセンスを取得する場合、以下の手順で行います。
⑦講習の具体的な内容は?
⑧学科試験は難しい?
⑦講習内容は以下の通りです。
<カリキュラム> 学科講習・実地講習の科目・時間数等を明確化
【科目】学科 … 無人航空機に関する規則、システム、操縦、リスク管理 等
実地 … 手動操作、自動操縦、緊急操作 等
【学科の時間割】
1等 合計18時間以上(経験者は合計9時間以上)
2等 合計10時間以上(経験者は合計4時間以上) 等
【実地の時間割】
1等(基 本)50時間以上(経験者は10時間以上)
1等(目視外) 7時間以上(経験者は 5時間以上)
2等(基 本)10時間以上(経験者は 2時間以上)
2等(目視外) 2時間以上(経験者は 1時間以上) 等
⑧学科試験は以下の通りです。
<形 式> 三肢択一式(1等:70問 2等:50問)
<試験時間> 1等:75分程度 2等:30分程度
<試験科目> 操縦者の行動規範、関連規制、運航、安全管理体制、限定に係る知識 等
※試験サンプルが公開されております。
https://www.mlit.go.jp/common/001493224.pdf
以上がライセンス制度の概要説明です。また進捗がありましたら、当ブログにてお知らせいたします。
②ライセンス制度の登録講習機関になるには?
登録講習団体の要件
登録講習機関とは、ライセンス制度の施行により新たに設けられる無人航空機のライセンス講習を行うスクールのことで、法令にある基準を満たし、国土交通省に登録されなければなりません。
〇欠格事由に該当せずに登録基準を満たすこと
<登録基準の概要>
〇一定の大きさの実習空域(屋内又は屋外)
〇直近2年間での一定の飛行実績等を有する18歳以上の講師
1等ライセンスの講師要件
(1) 直近2年の飛行実績 1年以上の飛行経験+100時間以上の飛行時間
(2) 講師としての経歴 1年以上
2等ライセンスの講師要件
(1) 直近2年の飛行実績 6月以上の飛行経験+50時間以上の飛行時間
(2) 講師としての経歴 6月以上
・修了審査を安全かつ公平に実施できる実習機
〇講習に必要となる施設、設備、教材
登録講習団体の講師・施設・設備
⑨今のドローンスクールとどう違うの?
⑩今のドローンスクールがそのまま登録講習機関になれるの?
⑨今のドローンスクールは、国土交通省に登録されている講習機関ではなく、ホームページに掲載されている講習団体という扱いであり、あくまで現行制度である飛行許可承認の審査基準に則ったカリキュラムを行っている団体であるので、登録講習機関ではありません。
⑩登録講習団体になるには、法令で定められた講習を行う施設や設備の基準と、講師の人的要件をクリアしなければなりません。当然、既存のドローンスクールはドローン講習を行ってる団体ですので、登録は有利にはなりますが、例えば「講師要件は満たしていても、実地講習の広さが不足している」など、要件を満たさない場合は登録講習団体にはなれません。
⑪任意団体や個人でも登録講習団体になれるの?
⑫講習会場や機体の要件は?
⑪残念ながら、任意団体や個人では登録講習団体にはなれません。登録講習団体になれるのは法人や学校です。
尚、登録講習団体の申請には「gBizIDプライムアカウント」が必要ですので、必ず取得しておきましょう。※「gBizIDプライムアカウント」の取得はこちらから
https://gbiz-id.go.jp/top/
⑫機体と講習会場の要件(案)は以下の通りです。
〇施設(実地)
・横21m 縦13m 高さ8.5m以上が確保できる屋内又は屋外の施設
〇機体(修了審査)
・風速5m以上でも安定して飛行ができること
・GPS及びビジョンセンサー等の姿勢安定装置のON⇔OFFができること
・受講者の保持する送信機とは異なる送信機を用いて、受講者に代わり操縦を行うことができること
(オーバーライド機能)
・カメラを搭載していること(目視外審査に必要)
・灯火を有すること(夜間審査に必要)
また、学科の場合はオンライン講習が可能です。