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民泊が水質汚濁防止法の特定施設から除外されました

民泊関連

宿泊施設専門行政書士の佐藤です。今日は、政令の一部改正のお話です。

少し前の話ですが、昨年の12月15日(12月19日施行)に「水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されましたので、これを解説したいと思います。

水質汚濁防止法とは?

この法律は、昭和45年に制定された法律です。この頃は、ちょうど工場排水などによる水質汚染がクローズアップされており、それに伴う「公害問題」が極めて深刻な状況になっておりました。そこで、これらの排水に対し一定の基準を設けることにより、国民の健康を保全することなどを目的に、この法律が施行されました。

(※資料:東京都下水道局ホームページより)

この法律が制定されたことにより、各自治体が窓口として、「特定施設」や「有害貯蔵施設」当たる施設を設置する場合には、届出をしなければならなくなりました。

この「特定施設」には、豚や牛の収容施設、食品の加工工場、繊維化学工場、印刷工業、ゴム製品加工工業、共同調理場、飲食店、旅館業・・・などかなり広範囲の業種が指定されております。

旅館業と水質汚濁防止法施行令

施行令第66の3号 旅館業(旅館業法第2条第1項に規定するもの(下宿営業除く。))の用に供するちゅう房施設、洗濯施設、入浴施設

このように、旅館業は水質汚濁防止法の「特定施設」に当たるため、当然、水質汚濁防止法の届出が必要です。

もちろん、一棟貸の「民宿」も旅館業(簡易宿所)の許可を取得している場合は、届出が必要となります。
※届出書類は自治体によって書式が異なります。

ただ、同じ下水道への排水でも「分流下水道」の場合は届出が必要ですが、「合流下水道式」の場合は不要となっております。また、「合併浄化槽」が設置してある施設も届出が必要です。

合流式下水道(届出不要)※一定の旅館業の場合

合流式下水道は、汚水と雨水を同じ管(合流管)で流します。集めた下水は浄化センターで処理しています。

昭和の中頃まで下水道が整備された、いわゆる大都市部が、未だにこの方式のままとなっているところが多いようです。
しかしこの方式は、合流管の容量を越える大雨が頻発し、道路上の雨水や宅地内の排水が合流管へ流れにくいという問題が起きています。

 

 

分流式下水道(届出要)

分流式下水道は、汚水と雨水を別々の管(汚水管と雨水管)で流します。汚水は浄化センターで処理し、雨水は直接河川へ流しています。

主に、昭和40年代後半から50年代にかけて、各自治体ともに、この方式を導入し整備を進めております。
新たな下水管はほぼこの方式となっております。

 

 

令和2年12月19日の施行令改正点

従前では、旅館業だけでなく「住宅宿泊事業」についても、届出が必要という見解がありました。何故、見解といったかと言いますと、「住宅宿泊事業法の施設」については具体的に法令で定められていなかったわけです。しかし、いかがでしょうか?

例えば、一戸建ての家があったとして、これを「民泊」の届出をしようとしても、この施設が合併浄化槽で、仮に「5人槽の浄化槽」を設置していた場合、宿泊客上限は5人となるわけです。

年間180日しか、宿泊できない「民泊」も「旅館業」と同等の届出が必要ということであれば、住宅の利活用という目的が達せられませんよね。そこで、政府は、令和元年6月21日の閣議において、「住宅宿泊事業に関しては、特定施設の届出を要さない」という方向で検討するとされました。そして、令和2年2月の中央環境審議会水環境部会を経て、先日の施行令改正となったわけです。

尚、以前届出している事業者に関しては、廃止の届出は必要ありません。これで少しですが民泊開業がしやすくなりましたね。

(資料:東広島市ホームページより)

 

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