無人航空機の『許可』『承認』…違いは?

おはようございます。ドローン行政書士の佐藤です。

先日、行政書士試験の合格発表がありました。合格された皆さん、おめでとうございます。
そこで、実際の実務と試験勉強がどのようにリンクするのかをまじえて、ドローン周辺の法規を例に、数回に分けて書いてみたいと思います。
もちろんドローンを扱う方にも、知識としてお役に立つ内容かと思います。

1回目は無人航空機(ドローン)の『許可』と『承認』の話。

この『許可』と『承認』については、昨年の受験組や、法律を勉強されている方は記憶に新しいと思いますが、「行政作用法」の最初の方に出てきますね。

その『許可』と『承認』と航空法の話です。
実は、ドローンスクールでの講習でも頻繁に質問を受けますので、ドローン実務者にとってもちょうどいい素材です。

無人航空機の『許可』とは?


無人航空機の『許可』とは、「航空法」の132条に定められています。条文内容は以下の通り。

無人航空機がなんなのかという定義は深く書きません。ここでは一般的なドローンとお考え下さい。

第百三十二条何人も、次に掲げる空域においては、無人航空機を飛行させてはならない。ただし、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合においては、この限りでない。

この条文を簡単に言うと

「ドローンは勝手に飛ばしてはダメ。だけど飛行機、陸上や海川にいる人、建物、車、船、鉄道なんかに危険を与えるおそれがない場所と国土交通大臣が認めれば、飛ばすことは問題ない」となります。

つまりこの『許可』とは、【一般的にはダメと禁止しているけど、ある「要件」を満たしていればOK】というものです。
「運転免許」「医師免許」「飲食店」「旅館業」などもこれにあたります。

この『許可』は、法律で「要件」、つまり予め法律で決められた申請書や添付する書類等を揃えて申請すれば、『許可』を出さなければならないものとなります。これを行政庁に判断する余地はないもの、難しい言葉で言えば【羈束行為】というものです。

さらに次の条文を見てみると

無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域
前号に掲げる空域以外の空域であって、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空

平易な言葉に直すと、以下のようになります。

1.飛行機(ヘリコプター)の安全な航行の妨げになるような空域で、国土交通省令で定めた空域
2.1に書いてある他の空域以外の空域で、国土交通省令で人や家が密集していると定められた地域の上空

となります。どちらも「国土交通省令で定められた」とありますので、「航空法では場所は決めないけど、飛行機、人や物にとって危ない場所は飛ばしちゃダメ」という意味ですね。

「国土交通省令で定められた」は法律の委任と言います。これは次回ご説明しますね。
この「国土交通省令」で、これらの空域や地域を下記のように記しています。
・150m以上の上空
・空港の周辺
・国勢調査によるところの人口集中地区

無人航空機の『承認』とは?

では『承認』はどうでしょうか。ドローンに係る『承認』の条文は以下と通りです。

第百三十二条の二無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。ただし、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、第五号から第十号までに掲げる方法のいずれかによらずに飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないことについて国土交通大臣の承認を受けたときは、その承認を受けたところに従い、これを飛行させることができる。

こちらも簡単に言うと、「ドローンはこの条文の次にあげる飛行方法によって飛行しないといけないけど、国土交通省令で、飛行機や人、建物や車等に危険でないと国土交通大臣が『承認』した場合は、『承認』を受けた飛行方法で飛ばしていいよ」というものです。

その飛行方法も条文であげてあります。

日出から日没までの間において飛行させること。
当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。
当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。
祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。
当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。
地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。
こちらも簡単言うと以下のようになります。
・日中に飛行させてください
・目視の範囲で飛行させてください
・国土交通省令で定められた距離を、保って飛行させてください
・イベントが開催中の場所以外の上空で飛行させてください
・国土交通省令で定めた危険物をドローンに載せて運んではダメですよ
・人や物に危害を与えないと国土交通省令で定めているもの以外を、ドローンから落下させてはダメですよ
では、この『承認』とはどのような意味なのでしょう。
こちらは、行政法のテキストなどには出てこないので、行政法を勉強していてもよくわからない方もいるかもしれません。
一般的には「行政庁が肯定的な意思表示を与え認めること」と訳されることが多いようですが…これでは、あまり良くわからないですよね?
例えば航空法の条文に照らし合わせてみると以下のように解釈できると思います。
ドローン飛行自体はダメではないですよ(132条1,2の場所を除く)
ただし、我々の定めたルールを守って飛行してください。もし止むを得ず、そのルールを外れた「例外」の飛行をしなければならない場合は、あらかじめ我々の『承認』を得てください。
という意味です。それでも何が違うかわかない・・・?
では、以下の条文を比較してみます。
132条【許可】  ・・・飛行させてはならない
132条2【承認】 ・・・方法により飛行させなければならない
と書いてありますね。文面から見ても『許可』の方は「禁止」されてます。それに比べ、『承認』の方は、ダメとはかかれていませんね。
ですから、「許可の方がより厳しく、承認の方が緩め」と思っていただけると間違いではないようです。
ここからは、実務の話。
この承認申請をしたことがある方はお分かりかと思いますが、実際はこの差、かなりあいまいです。
例えば「夜間飛行」を例に見てみます。
夜間飛行を行う場合は、次に掲げる基準に適合すること。ただし、無人航空機の機能及び性能、無人航空機を飛行させる者の飛行経歴等、安全を確保するために必要な体制等とあわせて総合的に判断し、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人
及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認められる場合は、この限りでない。
(法第132 条の2第1号関係)
(1)機体について、無人航空機の姿勢及び方向が正確に視認できるよう灯火を有していること。ただし、無人航空機の飛行範囲が照明等で十分照らされている場合は、この限りでない。
(2)無人航空機を飛行させる者について、次に掲げる基準に適合すること。
・夜間、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること。
・必要な能力を有していない場合には、無人航空機を飛行させる者又はその関係者の管理下にあって第三者が立ち入らないよう措置された場所において、夜間飛行の訓練を実施すること。
いかがでしょうか。「灯火の取り付け位置、大きさ、個数」や「確認方法」を明確に表示しているわけではありません。ですので、実際に具体的にきまったマニュアルがあるのかどうかも不明です。
このように、『許可』と『承認』は、行政法の講学上や行政庁の中で分けられてはいるが、申請する側からすればあまり変わりはないと思って頂いて結構だと思います。
結論、一般の方はあまり考えなくてよいというオチでした。
※『許可』と『承認』の違いにつきましては、航空局に内容を確認した上で掲載しております。
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